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3人は戦闘態勢に入った。
「ルイーザ、一応聞くけど、あのドラゴンのデータがタブレットに載ってたりしない?」
「さっき調べたけど、該当する情報はないわね」
「そうか…だったら、戦いながら対策を考えるしかないな」
クリスタルのドラゴンはジュンたちに気づき、威嚇する。その威圧感は立っているだけで全身が震えるほどだ。
「すごい威嚇よ!本当に財宝を渡したドラゴンと同じ存在なの?」
「まあ、細かいことは後で考えよう。まずは先手を取る!」
ジュンは貫通効果のある拳銃で攻撃を試みた。銃弾はドラゴンの翼に命中するが、ほとんどダメージを与えられた様子はない。動きも鈍らず、反撃の気配すら見せない。
「くそっ、貫通攻撃のはずなのに効いてないな…」
「そりゃそうよ。貫通攻撃は防御力を無視するだけで、弱点を突く攻撃じゃないもの。でも、ノーガードで攻撃を受け止めるなんて、このドラゴン、相当な精神力を持っているわね」
貫通技だけでは限界があるようだ。
「それなら、火の魔法はどうかしら?」
ウェンディが火の魔法を放つ。しかし、クリスタルのドラゴンは翼を広げ、その一撃を風圧で吹き返してきた。
「なにこれ!?私の魔法をそのまま跳ね返してきたわ!」
「おそらく、あの翼はただの飾りじゃないわね。火の魔法を跳ね返すだけの力があるなら、物理的にぶつかったらもっと危険だわ…」
ルイーザが冷静に分析する中、ジュンは思いついたようにウェンディに指示を出す。
「なら、あの翼を何とかするしかないな。ウェンディ、防御魔法を僕にかけてくれ」
「えっ、ちょっと待って。あなた、まさか突っ込む気じゃ…?」
「その通りだよ!」
ため息をつきながらも、ウェンディはジュンに防御魔法をかけた。
「助かる!」
そう言うと、ジュンは大型剣を取り出し、クリスタルのドラゴンに向かって一直線に突っ込む。
「やっぱり無茶するわね…」
ジュンはドラゴンの翼を狙って剣を振り下ろした。しかし、ドラゴンも翼で応戦し、ジュンを吹き飛ばした。壁に叩きつけられたジュンは、防御魔法のおかげで致命傷を免れたものの、痛そうに体を起こす。
「いててて…やっぱり硬いな」
「まったく、無茶するんだから!」
しかし、ジュンは手応えを感じたようだ。指をさして、ドラゴンの翼を見せる。
「ルイーザ、ウェンディ、あの傷を見てみろ!」
2人が注目すると、ドラゴンの翼には2つの傷が確認できた。一つは貫通技で付けた浅い傷。そしてもう一つは、さっきの剣で付けた深い傷だ。
「これは…」
「おそらく、あの翼の防御力自体はそこまで高くない。剣みたいに普通の物理攻撃を当てた方が、効く可能性があるぞ!」
ルイーザは考え込んだ後、頷いた。
「なるほどね。それなら戦法を変えるべきね!まずは翼を狙って行きましょう!」
「了解!」
3人はすぐに次の行動を開始した。戦いは、徐々に打開策が見えてきたかのようだった。




