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気になったページには、ドラゴンの絵が描かれていた。そのページを翻訳機能で読んでみると、次のように書かれていた。
「この洞窟を調査して5日目、クリスタルのドラゴンを見つけた。こんなに美しい生き物は見たことがない。この洞窟の主であるのだろうか。我々調査隊に近づくと、ドラゴンは金品や財宝を与えてくれた。それも、生活に困らないほどの量を。」
「クリスタルでできたドラゴン・・・なんだか、すごいね。会ってみたいな。」
ジュンは興奮を隠せない様子で言ったが、ルイーザの表情は少し曇っていた。
「ちょっと待って、その続きがあるわ。」
ルイーザがページをめくると、そこには次のような記録が書かれていた。
「ドラゴンから受け取った金品で、我々の生活は豊かになった。しかし、それと引き換えに、調査隊としての誇りを失ってしまった。何もやる気が起きなくなり、私たちは堕落してしまった。私は後悔している。かつて世界中を調査する夢があったはずなのに、目先の欲望に負けてしまった。この記録を読む者がいるなら、我々と同じ道を歩まぬことを願う。」
記録の最後に書かれた筆者の悲痛な訴えを読んで、3人は一瞬言葉を失った。静まり返る中、ジュンが口を開いた。
「でも、だからこそ余計に会ってみたくなったな、そのドラゴンに。」
「えっ?」と驚くウェンディをよそに、ルイーザも頷く。
「そうね、ますます興味が湧いたわ。」
「いやいや!あんなことが書いてあったのに?」
「確かに、調査隊の運命を狂わせたって話だよね。でも、それで引き返すの?」
「けど、そんな危険なドラゴンに近づくなんて・・・」
「ウェンディ、想像してみて。この洞窟の存在はいずれ他の探検隊や村の人たちにも知られるわ。もし私たちが今この洞窟を放置してしまったら、同じ悲劇が繰り返されるかもしれない。」
「・・・それは、確かに。」
ウェンディは反論を止め、考え込む。
「要するに、問題なのはドラゴンが与える財宝なんだよね。だったら、それを解決すればいいだけの話。」
「解決ってどうやって・・・?」
「まあ、詳しいことはドラゴンに会ってみないとわからないけど。」
ルイーザはそう言って軽く肩をすくめた。ジュンも笑顔で続ける。
「結局のところ、ドラゴンに会って話してみるしかないよな。」
ウェンディはまだ納得しきれない様子だったが、ジュンとルイーザの前向きな姿勢に押され、ため息をついた。
「わかったわよ・・・とりあえず、この洞窟の最終目標が決まったってことでいいのね。」
こうして、3人は「クリスタルのドラゴンに会うこと」を目標に定めた。
「じゃあ、残りの2つの道も早速調査しに行こう!」
ジュンの掛け声とともに、3人は再び別れ道へと戻っていった。




