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再び、風に吹き飛ばされて落とされた道に戻ってきたジュンたち。ジュンは鉄の靴を3足取り出し、3人でそれを装備してみた。
足元がずっしりと重くなる。正直、動きにくい。戦闘には向かない装備だ。だが――
「うん、これなら行けそうな気がするわね」
風に耐えられるかもしれないという期待を胸に、3人は進み始めた。細い道をある程度進むと、先ほど吹き飛ばされたあの強風が襲ってきた。
「おお、耐えてる! すごい!」
さっきは一瞬で吹き飛ばされた風も、この装備のおかげでビクともしない。
「よし、このまま進もう!」
強風に耐えながら、慎重に足を進めていく3人。ついに、細い道の攻略に成功した。歓喜のハイタッチが響く。
「やったね!これで先に進めるわ」
「この洞窟を探索するなら、この靴が必須だってことは後で報告しないとね」
ルイーザは手元のタブレットにメモを取ると、3人で奥の道へと進んだ。
「さて、ここには何があるんだろう?」
進んだ先に広がっていたのは、またしても広いフロアだった。しかし、奥に続く道は見当たらない。これほど苦労してたどり着いた場所に何もないとは考えにくい。
「あれ?ここで行き止まり?」
「えー!?そんなのありえないでしょ!」
「あれだけ苦労して来たんだから、何か仕掛けがあるはずよ」
3人は手分けして周囲を調べ始めた。ルイーザは壁を丁寧に調べ、ジュンは地面を叩きながら音の変化を探る。ウェンディは天井に何かが隠れていないか確認していた。
カチッ
「……あ」
「え?ジュン、その『あ』って何よ?」
「いや、なんかスイッチみたいなものを踏んじゃった気がする……」
ゴゴゴゴゴ……
低い轟音が響き、ジュンが踏んだスイッチの近くから階段が現れた。
「風の仕掛けに、この階段の仕掛け……この洞窟、どうやら自然のものじゃなくて人工的に作られたみたいね」
「異界のどこかに住んでいる人たちが、何かの目的で作ったってこと?」
「その通りだよ、ウェンディ。つまり、お宝が眠ってる可能性が高い!」
人の手が加わった場所なら、何かしらの価値あるものが眠っているはずだ。期待に胸を膨らませながら、3人は階段を降りていった。
「うわ、やっぱり!ここ、物置だよ!」
階段を下りた先に広がっていたのは、棚や箱が並ぶ物置と思われる空間。冒険心がさらにかき立てられる。
「これだけ色々置いてあるなら、きっとお宝があるよ!」
3人は目の前の箱に駆け寄った。それは鍵穴も仕掛けも見当たらない、開けやすそうな箱だった。
「よし、開けてみよう」
「何が入ってるんだろう?」
ジュンは慎重に箱のふたを持ち上げた――。




