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翌日、3人は再びクリスタルの洞窟の入口にやってきた。
今回の依頼内容は、この洞窟が人の行き来に適しているか、どんな資源や特徴があるのか、そしてその構造を調べることだ。
「さて、中に入ってみるか」
「おー!」
「2人とも、慎重にね」
洞窟の入口は特に危険な様子もなく、スムーズに進めそうだ。ジュンたちはワッフルを連れて行こうと考えたが、入口が狭いため彼を外に置いていくことにした。
3人は静かに洞窟の中へと足を踏み入れる。
しばらく進むと、道は真っ直ぐ続いているだけの単純な構造だった。
「それにしても、綺麗な場所ね」
「ホントね。この世界にこんなにキラキラした場所があるなんて驚きだわ」
ルイーザとウェンディは、洞窟の幻想的な美しさに感嘆していた。一方でジュンはというと、目を輝かせながら別のことを考えている。
「スゲーな。このクリスタル、もし売ったらいくらになるんだろうか……」
2人と異なる視点で「感動」している彼を見て、ウェンディは苦笑するしかなかった。
しばらく進むと、洞窟は広い空間に出た。そこには3方向に分岐する道があり、さらに寒さが身に染みるようになっていた。
「うわ……ここ、地上よりさらに寒いわね」
「ここまでは一本道だったけど、特にこれといったものはなかったな」
3人は立ち止まり、それぞれの道を確認したが、どれも先の様子は分からない。
「さて、どの道を進む?」
「とりあえず、右の道から行ってみようよ」
「ん?理由は?」とジュンが尋ねる。
「別に、なんとなくね」
ルイーザらしい直感的な答えにウェンディは肩をすくめたが、悩むよりも決断が早いのは悪くないと思った。
「まあ、迷うくらいなら、それでいいか。右に行こう」
ウェンディも同意し、3人は右の道を進むことにした。
道を進む途中、ジュンはタブレットを取り出し、何かを操作していた。
「ジュン、それ何してるの?」とルイーザが尋ねる。
「このタブレット、メモ帳の機能があるんだ。来た道を記録しておけば、迷った時に役立つだろ?」
「なるほど、そういう使い方もできるのね」
洞窟の右の道は細長い一本道が続いていた。途中、道幅が狭くなり、足元には冷たい水流が見える。
「下、見てみて。水が流れてるわ」
「落ちたら風邪ひきそうね……寒そう」
「まあ、落ちなきゃいい話だろ」
道自体に罠らしきものは見当たらず、真っ直ぐ進むだけだ。3人は慎重に足を運び、この細い道を通り抜けることにした。




