8-15
ジュンの大型剣がローデンの火の玉と激突した。
「うわああーっ!」
剣を持つ腕がしびれ、押し負けそうになる。無謀だったのか?そんな思いが脳裏をよぎるが、ジュンは自らを奮い立たせた。
ローデンに勝つためには、奴の力を手に入れるしかない――。
しかし、手応えがなかなか感じられない。
もし、この行為が失敗に終わったら……?
その一瞬、ジュンは自分の心がネガティブな思考にとらわれていることに気づいた。
過去の失敗が蘇る――落ち込んで動けなくなったあの時。だからこそ、成功を逃してしまったのだ。
「違う、今度は違う!」
強く握り直した剣が応えるかのように熱を帯びていく。
目標は明確だ。この戦いを生き延びて、始まりの異界へ行く。それを成し遂げるまで、こんなところで倒れるわけにはいかない。
「負けてたまるかああー!」
気合とともに、ジュンの胸元に輝きが戻る――始まりのタグが再び力を放ち出したのだ。
その瞬間、手応えが変わった。
火の玉の圧力が弱まり、剣がそれを切り裂ける感覚を掴む。
「いける……今ならいける!」
ジュンは剣を思い切り振り下ろした。
燃え盛る火の玉が一瞬で消え去り、その力が剣に吸収されていく。剣はまるで生き物のように輝きを放ち、火の力を宿した。
「やったー!ジュン、すごいよ!」
ルイーザが歓声を上げる。
「はぁ、はぁ……成功した……。」
ジュンは息を切らしながらも、勝利への確信を掴んでいた。
「ほんっと、心臓に悪いわよ、あなたたち!」
ウェンディも安堵と驚きが混じった笑みを浮かべる。
剣の先から燃え上がる炎は、ただの炎ではない――タグの力によって昇華されたものだ。
「技を奪われた……だと……!?」
ローデンの顔が一瞬で青ざめる。
「馬鹿な、あの火の玉はボムの実でパワーアップしたはずだ!なぜ奪える!?」
「簡単さ。」ジュンが冷静に答える。「お前の炎、威力が落ちてるんじゃないか?ボムの実で無理に強化したせいで、体に負担がかかってるんだろ。それで防御力も下がって、この剣が受け取れるようになったんだ。」
「くそ……!」
ローデンは力を振り絞り、再び火の玉を吐き出す。しかし、その勢いと威力は明らかに低下していた。
「無駄だ!」
ジュンは剣を振り抜き、ローデンの火の玉を断ち切る。炎を纏った剣はさらに輝きを増していた。
「これでお前の炎の技は封じた。」
ローデンは目を剥いてジュンを睨みつけた。
「く……くそー!」
怒りの咆哮を上げるローデン。だが、その声はもはや焦燥に満ちている。
「ローデン……これで決着をつけさせてもらう!」
ジュンは剣を構え、次の一撃の準備を始める。燃え盛る剣が、決意とともに一層強く輝いていた――。




