8-13
「簡単な話よ。ジュンが貫通技で傷をつける。そこにルイーザが水属性の攻撃を加え、私の雷魔法でとどめを刺す。これで、あなたの体には確実にダメージが入るのよ。説明しなくても分かるでしょう?」
ジュンがつけた傷を水で濡らし、雷を流すことで電気が直接ダメージを与える。このシンプルな連携が、ローデンの頑強な防御を貫く鍵だった。
ローデンの体が怒りで震え始める。
「ま、まさかここまでコケにされるとはな・・・。いいだろう。もう一度、さっきの一撃を味わわせてやる!」
その言葉と同時に、ローデンが火の玉を連続で吐き出してくる。ジュンはバリアを展開するが、次々に襲いかかる火の玉をすべて防ぎきることはできなかった。
「うわっ!」
「ジュン!」
辛うじて致命傷は避けたものの、ジュンの体には相当のダメージが蓄積していた。
「なんて奴だ。攻撃が無茶苦茶すぎる・・・」
火の玉の出現タイミングも予測できず、規則性もない。そのため、どのように対処すればいいのか全く分からなかった。それ以上に気になるのはローデンの様子だ。
「あいつ、自我を失ってないか?」
薬の影響だろうか。冷静さを失い、言葉遣いも荒くなっている。戦術を考える余地もなく、3人は次々に襲いかかる攻撃を受け続けるしかなかった。
「許さん、決してお前達を許さんぞ!」
ローデンの怒号が響く中、再び火の玉がジュンを狙って迫ってくる。
「くっ・・・」
逃げるには時間が足りず、周囲の瓦礫が邪魔をして避けることもできない。追い詰められたジュンは大型剣を引き抜いた。
その瞬間、ルイーザがひらめいたように水の魔法をジュンに向けて放つ。
「ジュン!剣に水の力を込めて!」
ルイーザの水魔法はジュンの剣に吸い込まれるように宿り、剣に濃厚な水属性のエネルギーを付与した。
「いっけー!」
ジュンは水の力を纏った剣を勢いよく振り抜き、ローデンの火の玉を斬り裂いた。
「やったー!」
「ナイス、ルイーザ!流石ね」
火の玉を防ぎきったジュンは、ルイーザとウェンディのもとに戻ることができた。全員の顔に安堵の色が浮かぶ。
「生意気な・・・!」
ローデンは苛立ちを隠せず、荒々しく翼を広げる。その姿はまるで、力任せに全てを押し潰そうとする獣そのものだ。
「ちっ、もう一度、全員をまとめて片付ける必要があるみたいだな」
ローデンが再び上空へと飛び立つ。それは、反撃のチャンスの合図だった。
ルイーザは冷静に口笛を吹き、ワッフルを呼び出す準備を始めた。




