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「どうやら、あなたたちを軽く見ていたようですね。それは認めましょう。しかし、これ以上一方的に攻められ続けるわけにはいきません。これを使わせてもらいます」
ローデンは懐から一本の小瓶を取り出した。中には緑色の液体が揺れている。
「これは、生き物の能力を飛躍的に高める薬です。本来なら使いたくはありませんでしたが、背に腹は代えられません。ご安心ください、安全性は検証済みです。以前、これを使ってドラゴンの能力を持ったハイゴブリンを作り出しましたね」
「ドラゴンの能力を持ったハイゴブリンだと!?」
ジュンとルイーザはその名を聞いて凍りついた。探検隊を結成したばかりの頃、エドガー平原で遭遇した強敵の姿が脳裏に蘇る。火を吐き、通常のハイゴブリンを遥かに上回る力を持っていたあのモンスター――まさか、あれが人工的に作られていたとは。
「ほう、あのハイゴブリンを倒したのが君たちだったとは。ますます驚かされますね。確かレベル5相当の強さがあったはずですが、よくもまぁ倒せたものです」
ローデンは不敵に笑うと、小瓶の中身を一気に飲み干した。
「これを、レベル8の私が使うとどうなるのか……試してみましょう!」
瞬間、ローデンの体が激しく変化し始めた。翼は黒く大きく広がり、頭からは鋭い角が伸び、口には巨大な牙が並ぶ。その姿は、まるでドラゴンそのものだった。
「姿は変わりましたが、意識はしっかり保っています。実験は成功ですね。今の私はレベル10相当の力を持っていますよ」
ジュンたちは言葉を失った。あの恐怖――ドラゴンの力を持つ敵に直面した時の記憶が鮮明に蘇る。
次の瞬間、ローデンは口から火の玉を吐き出した。その速度と威力は、これまでのどんな攻撃よりも凄まじい。
「危ない!」
3人は必死に回避したが、その火の玉は後方の塔を直撃し、一撃で粉々に砕いた。
「な、なんて威力だ……塔が一発で崩れた!」
「それより……結界も破壊されたみたいよ!」
ジュンたちの周囲に吹き抜ける風が、結界の消失を物語っていた。
「さて、これ以上手加減するつもりはありません。この浮島ともども、君たちを葬りましょう」
ローデンは浮島を狙い、再び火の玉を放つ。その炎弾は直撃し、浮島の一部が粉々に砕けた。
「うわぁぁっ!」
足元が崩れ、ジュンたちは浮島の外へと投げ出された。頭上には、ドラゴンと化したローデンの姿が不気味に浮かび上がっている。




