中編 旅路
乙坂有宇のリハビリと全治が完了したその後
世界の能力『略奪』の旅に出ることにした。
空港
西森「気をつけて下さい。」
高城「期待していますよ?」
隼翼「くれぐれも身体には気をつけて行ってこい。」
今回出発前の違いは、奴と万が一遭遇した際に
対抗できるように仲間の能力を奪わずにいること
例外として熊耳さんから『探知能力』をいただいて行くこと
である。
仮にあっても奴の場所がわからない為である。
有宇「えっと、それについてお願いがあるんだけど。」
有宇は手を伸ばす。
もう手の届かない場所で
消えてほしくない大切な人へ
有宇「奈緒・・・一緒に・・・来てくれないか?」
奈緒「・・・は!?どうして?」
有宇「僕の手の届かない場所で・・・消えないで欲しい。」
あの時のショックが重く記憶にのしかかる。
友利の死をこの目で見た訳じゃない。
だが、手の届かない場所で
大切な人を失った。
そんなことはもう絶対に嫌だ。
隼翼「友利・・・有宇の願いを聞いてやってくれないか?」
奈緒「ふぇっ!?」
隼翼「だが、有宇それはもっときつい道になるぞ?
今まで以上に危険に晒され、大切な人を目の前で失うかも
しれない覚悟が無いと勤まらないぞ?
下手をすれば能力集めに支障をきたす事に・・・。」
有宇「それでも・・・!!友利と一緒に行きたい!!」
奈緒「・・・・・・・。」
回想
サラ・シェーン「男女っていうのは最初から完璧を
求めるんじゃない・・・補い合い・・・完成させるんだ。」
私は今までの経験上乙坂有宇を完全に信頼するのは難しい。
だけど・・・彼の中で何かが変わっている。
それに・・・危険はたくさんあるけど
世界は回ってみたい。
そして
あの言葉の意味を知りたい
奈緒「わかりました、行きましょう。
ただし女子のわがままは貴方の想像を度外視してますよ?
それでも行きます?」
その言葉を聞いて乙坂有宇は笑顔で笑うと。
有宇「うん!!行こう!!」
手を引かれて
かつて無い旅へと
今度は
二人で行く
『もう一度・・・世界へ』
最初の国へ。(※アニメ見てないとわからないです)
友利達の能力を奪ってない為いろいろ考えて行動することに
有宇「よし、まずは。」
路地裏でそこらへんの怖そうなギャングに『乗り移り』
ポケットの拳銃とナイフと弾薬をごみ箱へポイして蓋を
閉めて前を向く。
ギャングがおどおどしながら去るのを確認すると。
有宇「はい、護身用。」と渡す有宇
奈緒「えげつないな!!」
有宇「君の為だ。」
奈緒「・・・まあ、物騒なところこれからごろごろ回るのに
躊躇ってられないか。」
拳銃とナイフをしれっと所持する友利奈緒。
そこで本命ターゲット発見。
奈緒「あれが読心術の能力者ですか、んじゃタイミング
合わせて下さい。」
有宇「わかった。」
まずは有宇が鍵を遠距離から開けて奈緒が侵入する
『友利』は能力を使って『読心術』の能力者から
姿が見えなくなる。
しれっと後部座席右の鍵を開ける。
読心術の能力者が運転席に入った瞬間通りすがりの有宇が
能力を奪って車に侵入する。
『読心術』「・・・(英)誰だ!?」
すると誰も居ない筈の隣から声がしてナイフが首筋に
突きつけられる。
奈緒「英(えー、貴方が能力者のリーダーで
良かったんでしたっけ?)」
『読心術』「英(なんで相手の思考が読めない・・・
能力を盗られた!?)」
奈緒「英(んじゃあ仲間で探知役の方を教えて
いただきましょうか?)」
『読心術』(考えるな・・・考えるな・・・。)
有宇がサイドミラーに指でわっかの合図を出すと
奈緒「わかりました、もう用無しなんで失礼しまーす。」
奈緒が鍵を奪い、二人とも車から出ると有宇がドアの鍵を
念力で壊して閉じ込める。
『読心術』「英(出せ!!ここから出せ!!)」
能力探知の能力者のガードマンがガードマンを殴って倒し、
意識が戻ったところで後頭部に岩が飛んできて気絶。
そこで『能力者探知能力』をさっさと奪うとずらかる。
奈緒「どんな感じで見えてるんですか?」
有宇「ああ、リアルタイムでGPS信号みたいにはっきりと
見える。ここに・・・。」
熊耳さんから貰った『能力者探知』を組み合わせれば。
有宇「これなら危険な能力者の能力を発見しつつ
優先的に戦略を練って捕まえる事ができる。
(これで奈緒への危険を回避できる!!)」
奈緒「すいません・・・定期で・・・生理です。」
有宇「ズルッ。」
女の子の数々の常識にこれから悩まされる事となる。
奪った能力をメモしながら日記帳につけていく友利
デメリット、メリットを踏まえながら順調に奪っていく。
友利「能力によっては奪ってデメリットが極端に高いやつは
最後の最後に取っておきましょう。『聴覚覚醒』なんて
夜眠れなくなるかも知れませんからね。
リスク回避の為に旅の最後辺りにまとめて奪うことに
しましょう。」
熊耳さんの能力を貰ってからかなりリスクを回避しつつ能力の
回収ができるようになった。
ただ、友利の安全確保やトイレ、食料や水の補給等で遅延が
発生した。
奈緒「すいません、お風呂。」
有宇「わかった・・・シャワーじゃだめか?」
奈緒「それでいいです。」
奈緒「ちょっと・・・生理が・・・後ろ向いてて
くれませんか?」
有宇「いいよ。(無垢ににっこり)」
奈緒「貴方は本当にあのゲスだった有宇ですか?」
有宇「???」
それでも楽しいと感じた。
ただ・・・定期でお風呂やシャワーやトイレ、ナプキンを
ねだってくる事には結構苦労した。
衛生面に女性は五月蝿い現実を直視しつつ進んでいく。
友利は旅の進行状況を逐一隼翼に報告する。
いろいろな苦難を歩ながら・・・能力を奪っていく中
隼翼「ヴィオ・ドッペェルの行方は?」
仲間「TwitterやFacebookが楽しい事以外にゃなにも
みつからねえよ。」
仲間「ここまで世界中から情報が無いと不気味だな。」
隼翼「・・・・・・・・・・・・・。」
有宇「疲れてきた・・・。」
奈緒「じゃあ、一旦帰りましょう。」
有宇「え!?」
奈緒「別に帰っちゃ悪いって訳じゃあ無いでしょ?」
有宇「まあ・・・そうだけど。」
奈緒「それにもう一回世界を回るんならもう少し準備
しなきゃですね~♪」
苦痛で辛いかと思いきやわりと楽しく元気そうにはしゃぐ
友利。
その時。危険な気配を瞬時に察知した。
有宇「・・・伏せて!!」
奈緒「ばっ!!」
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兵士「弾が無くなるまで撃ち続けろ!!」
機関銃の銃弾の嵐が襲い掛かり、バリアを張って友利も
護り、バリアを膨らませて敵を一気に吹き飛ばす。
奈緒「いやぁ~びっくりした~1秒気がつかなかったら
蜂の巣でしたね~え?」
有宇「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・。」
有宇の疲弊っぷりを見て「ふう、」と息を吐くと
奈緒「急いでいるかも知れませんけど、身体と心を壊したら
元も子もありませんよ。」
日本に一旦帰った有宇と友利。
歩美「お帰りです有宇お兄ちゃん♪」
その時何かぼ~っとしている様子の有宇。
歩美「どうしたんですか?歩美の顔を忘れてしまったんですか?
有宇お兄ちゃん!!」
有宇「い、いやごめん、思い出したよごめん歩美。」
奈緒はここで少し異変を察知した。
だが核心には至らなかったので今は休養に専念した。
休養の間に友利と電気店に行く。
奈緒「隼翼さんには感謝しませんとね~世界回るからには
小型でいいカメラとかメモリーカードとかもろもろもろ
準備しなきゃ罪でしょ?一生に一度行けるかわからない
所に行くんですよ?能力奪って帰るだけじゃもったいない
じゃないですか~♪」
どうして旅で結構こっちは疲弊しているのに友利は
こんなに元気なのだろう。
見ているだけで元気になる。
あんなに辛い旅路なのに。
あんなに危ない目にあっているのに。
すごいな友利。
有宇「奈緒は・・・凄いな。」
奈緒「何が?」
有宇「僕はくじけたり、怖かったりするのに奈緒は
いつも元気で・・・かわいい。」
奈緒「そうですか?」
有宇「そう。」
奈緒「心にも無いことばっかり言って・・・まあ辛くないとか
不便じゃ無いと言えば嘘になります。でも・・・。」
いじめを受けていた回想が入る。
奈緒「少なくとも学校にいるよりずっとずっと楽しいです
次の日はあんな景色、こんな景色。保存しないのが
もったいない広い世界・・・この先仕事に就職したり
結婚したりしてたら二度と見ることができないかも
しれない・・・確かに男女二人で行くことに危機感が
無い訳じゃありません・・・大変で手間も時間も
かかりますが・・・少なくともついていって良かったと
感じています。」
有宇「じゃあ、結婚して落ち着いたらもう一度海外へ行こう
奈緒が海外でもう一回楽しめるように。」
奈緒「そうと決まった訳でもないのに心にもない事を。」
有宇「そんなことは無い、頑張って勉強して一緒に
頑張ってもう一度海外へ行けるようになろう
何度でも何度でも。」
奈緒「勉強できるんですか~元カンニング魔に。」
有宇「うん!!頑張るよ。」
奈緒「胡散臭いな~。」
そんなたわいもない時間を過ごしながら・・・能力集めを
再開する。
極寒のロシアから。
奈緒「さっむ!!!!!」
アフリカのビクトリアの滝やコロンビアのサンドアンドレス島
チョモランマから新鷹山までカメラで撮り回った。
能力を奪うついでに。
有宇「疲れたよ~。」
奈緒「じゃあ一緒に寝ましょう。」
とある廃墟ビルで寝る二人。
有宇「・・・うるさい・・・うるさい・・・うるさい・・・
うる!!」
奈緒「うるさい!!」
ボコン!!
そこらにあった鉄パイプで上手に有宇の意識を落として寝る。
有宇「・・・☆・・・☆・・・☆・・・。」
射撃演習場でどの銃が身体に合うか練習する二人。
奈緒「・・・銃も・・・わりといいですね・・・。
これとかこれとか・・・。」
バケツ一杯に溜まった薬莢に苦笑いする有宇
豪邸ベランダから『ハイジャンプ』の能力者が入って
来るとき。
『ハイジャンプ』「し、死神!?」
有宇「ああ、しにが・・・。」
監視カメラの死角で。
奈緒「はむはむ。」
ケーキを手で下を持って頬張る友利奈緒。
奈緒「このケーキ美味しっ(小声)」
『ハイジャンプ』「・・・・・・・。」
有宇「今だ。(能力略奪)」
『ハイジャンプ』「しまっ!?」
屋上から雷の能力奪って落ちていく有宇尻目に
有宇「うはははははははは!!」
別の建物付近で「お~あのビルの形いいですねあれ、
撮っときましょう。」
有宇 ↓
暇な映画館の中で一緒に寝たり。
砂漠にて。軍用ジープを運転する奈緒。
後ろには能力者とおもわしき4人が寝てる。
奈緒「免許無くても一応逮捕されない場所ってあるんですね。」
有宇「うん!!楽しい!!」
奈緒「だめだ・・・知らないうちに常識壊れてきた。」
まだ能力未発症のキャリアの群れを有宇がソマリアで
回収している時は
友利「いや~アフリカでも治安いいとこあるんですね~。」
遥か離れたケープタウンでクレープかじって待ってる友利。
流石に同行は危ないので治安のいいところで待機。
中東の能力者収容所に有宇が行ってる時には
友利はドバイで変装してあちこちうろうろ。
テロリスト「確保!!・・・い、いな・・・!?」
パン、パン、パン、パン!!
テロリスト「くそお!!どこ・・・。」
手榴弾のまとまり落下。
ドドドーーーーン!!!
テロリスト「ぎいやあああああああ!!」
奈緒「いやあ、日頃鍛えた護身術も馬鹿にはできませんね。」
気がつけば多少の暴漢程度なら返り討ちにできるようになった
有宇「無事!?」
テレポートで現れる有宇
奈緒「おっそい!!」
オーストラリアでエミューの群れを見て回ったり
エアーズロックに登って二人をタイムシャッターで撮影する
奈緒。
アメリカで
奈緒「グランドキャニオンでごろごろ~ごろごろ~。」
少し有宇も呆れていらいらすることもあった
世話も大変だった。
それでも楽しい時間はあっという間に過ぎた。
しかし、楽しく世界を一緒に回って気がつかなかったが
奴の危機は嫡嫡と迫っていた。
そんなとき、有宇がカサフスタンの研究所で
能力を『略奪』して回ってる最中についに出会ってしまった
友利を安全そうなホテルに泊めて。
奈緒「まあ、一人でホテルは少し不安ですがまあお金は
払っているし警戒をしていればたいしたことは・・・。」
きゃぁああーーーーー!!!
わああああああーーーー!!!
ドズン!!ドズン!!ドズン!!
多数の悲鳴と銃声が聞こえた。
そこでドアに耳を当てて気配を確認しつつ下手に出ずに
ベットの下に隠れる。
下手に自分がいることを自己主張するよりはリスクを
回避できる。
そこで部屋に奴が入ってきた。
そう、忘れかけていた凶悪なもう一人の『略奪』である。
ヴィオ「さあ、能力者ちゃーん♪出てきてくだちゃいね~♪
奪ってぶち殺してあげるからさ~♪ね~出てきてよ~♪」
どう考えても空気も雰囲気も言動もやばい。
奈緒(奪う!?やばい・・・下手したら殺される!?)
ヴィオ「そこにいることはわかってるんだぜ出てこい!!」
奈緒「うおぉぉっ!?」
ベットから『サイコキネシス』で無理矢理引っ張り出された
その時、奈緒は拳銃を撃つ準備を既にしていた。
パン!!!パパパン!!
ダムダム弾入りの拳銃を撃ち込みバリアをあえて張らせて
怯ませ敵の『サイコキネシス』の物理エネルギーを逆に使って
窓ガラスを割って外へ逃げる。
ヴィオ「よし、略奪・・・。」
ダァン!!ダァン!!
落下しながらの不安定な体制から更新した拳銃を両手で構えて
眼球にピンポイントで狙い撃つ。
その弾丸から身を護るために『略奪』を中断してバリアを
展開する。
腰にあった手榴弾の束をピンを抜いて相手目掛けて
投げて爆発させる。
ヴィオ「やっぱ気持ち変わったわ、死ねぇえええええ!!!」
電撃・炎・レーザーを混ぜたようなものをチャージし
落下しながら友利目掛けて撃ち込もうとする。
奈緒「ゆーーーーーーーーう!!」
その直後地面寸前で友利の近くに瞬間移動で現れ
抱きしめてその場から消える乙坂有宇。
地面にエネルギーが衝突したあと大爆発が一帯に広がる。
カンボジア上空
奈緒「わああああああああああああ!!!!」
有宇「ごめん高さ間違えたああああ!!!!」
奈緒「さっきのビルの100倍は高いっすよ!?
何を間違えたらこんな高さにぃいい!?」
有宇「大丈夫なんとかするぅううう!!!」
奈緒「楽しいけど加減しろおおおおお!!!」
二人は某ジブリ映画の二人より高い場所から
かなり速い速度で地上に落ていく。
フィリピンのホテル
ぐったりと横たわる乙坂有宇を尻目に
スマホで連絡する友利奈緒。
隼翼「緊急事態だ!!もう一人の『略奪』が世界の都市を
破壊しながら現れた!!」
奈緒「ハイ、もうとっくに遭遇しました。
幸いなことに『その場所から歩いた分と同じだけカロリー
を消費しないと使えない瞬間移動』を入手できている以上
あいつが無理してここまで来たら疲弊して逆に好都合な
距離に逃げたので今のところ大丈夫です」
隼翼「それならいいが・・・新たにわかった情報がある。
あいつの被害は確認できても顔が割れないんだ。」
奈緒「どういう事っすか?」
隼翼「あいつはもう一つの『ジャミング』を入手していて
写真やカメラ、ビデオに一切身体や顔が映らない。そのかわり
肉眼では丸見えだからTwitterの似顔絵で辛うじて
特徴がわかるにとどまる。」
Twitter写真コメント
『なんであいつ映ってねえ!?』
『どうなってんだ!?これじゃあ異常気象にしかみえねえ!?』
『機会だと映らないので書いてみました。』
食事を取って考える二人。
奈緒「厄介ですね・・・いつ日本を襲撃するかわからないし
・・・一旦私を日本に置いてきてください。」
有宇「どうして!?」
奈緒「わたしのせいで能力集めに遅延を発生させてしまった
・・・これはとても重い事実です。
私がついて行かずに応援だけやってれば・・・。」
有宇「そんなことを言うな!!!」
有宇が声を荒げて抱きしめ叫んだ。
奈緒「!?」
有宇「確かに・・・寄り道したり・・・ご飯を確保したり
・・・大変だった・・・だけど!!君がいてくれなかったら
絶対に僕は壊れてしまっていた・・・辛いときどうしたら
いいかわからなかった・・・君が居なかったらこんなに
楽しくは無かった・・・間違ってもそんなことを言うな!!」
友利は顔を赤らめて言った。
奈緒「似合いませんね・・・その台詞・・・言われるとは
思ってなかったです・・・そんなに・・・私の事・・・
大事ですか?」
有宇「当たり前だ!!能力たとえいくつ取り逃そうが僕は君を
選ぶ!!」
友利はため息をつくと「しょうがないなあ」と小声でつぶやくと
奈緒「それでも一旦戻りましょう、万が一今すぐ日本に
来られてしまう可能性もあるんです。
みんなの無事も考慮して作戦会議をすることも含めて
一旦帰りましょうそれじゃダメですか?」
有宇「それなら・・・いい。」
奈緒「了解、じゃあ行きましょう!!日本へ!!」
自分が引いて行った手はいつのまにか僕を引いて導いていた。
僕が標になっていたんじゃない。
彼女が僕の道標なんだと。