prologue
初投稿です。慣れないことが多いですが、少しでも多くの方に楽しんでいただけるような作品にできるよう、頑張ります!
目の前で幼い頃の自分が笑っている。
その前に立っているのは、鏡写しのようにそっくりな顔をしたもう一人の子供。
二人は楽しそうに笑いあっている。
「鈴華、凛音。そろそろ戻ってきなさい」
『はーい』
今よりも少し若い母さんと、その隣に立つ父さん。母さんの腕の中にいるのは、生まれたばかりの弟だ。
「ねえねえ!お母さん、お父さん!!」
「どっちが凛音で、どっちが鈴華でしょーか!!」
目をきらきらとさせながら、そっくりな仕草で問いかける。
「うーん。右が鈴華で、左が凛音ね。」
『当たりー!!」
そういえば、あの頃は良くこういう遊びをしてた。他の人は大抵当てずっぽうで答えるか、外すかだったけれど、お母さんとお父さんだけは間違う事が無かった。それが嬉しくて、何度も問いかけたのを覚えている。
しばらく見ていると、どこからか声が聞こえてくる。それと同時に、笑っている家族の光景がだんだんぼやけていく。
ああ、夢から覚めてしまう。
家族の笑い声が完全に聞こえなくなった後、「私」はゆっくりと目を開けた。
「起きて。起きて、姉さん。もう朝だよ」
「ん…。もうそんな時間……?」
見慣れた天井と呆れたような弟の顔。
「ご飯できてるから。先に行ってるね」
「わかった」
のろのろと布団から起き上がって、伸びを一つ。洗面所で顔を洗い、寝癖を直し、制服を着る。最後にネクタイを結べば、準備は完了だ。
「あら、今日は遅かったわね」
「あはは。寝坊しちゃった」
父さんは数年前に亡くなってしまったので、それ以来母さんが女手一つで「私」たちを育ててくれている。
「昨日疲れたって言ってたものねえ。『凛音』も梨人も元気なのは良いことだけど、寝坊は駄目よ?」
母さんのその言葉に、梨人が顔を歪めるのが見えた。
「はーい。明日からは気をつけるね」
いつも「私」と亡くなった姉を見分けてくれていた母さん。今は、ずっと間違い続けている。




