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物語部員の生活とその意見  作者: るきのまき
9・樋浦清の物語・その2

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9-3話 波打ち際ではしゃぐ物語部員その他の人たち

 事故で怪我して水着の用意はしていない鳴海和可子さんはセピア色の髪と金色の瞳で、薄い青色の素朴なワンピースを身につけている。パンクで赤毛の立花備は青緑の、ホモか水泳部が履きそうな競泳用水着、物語戦隊の嘘グリーンである市川醍醐くんは普通の赤紫のトランクス型水着で、またくだらない話をしている。

「やっぱおれたち、女体化してナンパされてメシおごってもらう、ってのは無理だな」

「そもそも、そんな案を出す備くんに、別につきあわなくても、ぼくのほうではよかったんですが…女体化した備くんのほほ笑みは、人を殺すときの悪者のほほ笑みなんで、見てられなくって手伝ってしまいました。普通に海の家へ行って何かあとで食べましょう」

 女体化というのは、本来はきつねである紺野陽ちゃんが、備とわたし、つまり樋浦清にくれたイアリングで可能なのだ。それを装着すると外見だけが性別が変わるように見える。見えるだけで中身が変わるわけではない。今は醍醐くんがわたしのを借りている。今のところわたしが使って男体化する状況はないので、ときどき、というか割としょっちゅう醍醐くんに貸している。

「しかし本来の姿だと、黒いところと白いところがくっきりしちゃうな」

「炎天下でバンド練習しましたからねえ。これでは地元民じゃないことが丸わかりです」

「しょうがないから、普通に地元のお嬢さんたちに声をかけてみようか」

「その場合は、相手の飲み食い代はぼくたち持ちですけどね。あっ、サンオイル塗ってあげましょうか、備くん。しかしいい筋肉してますね」

「コツは、アニメ見ながら腹筋・腕立て伏せ・スクワットその他の運動をすることなんだ」

「少し触ってもいいですか?」

「やめろよ。やめろってばやめろ。清が見ている」

 確かにわたしは、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノみたいなふたりを見ていたが、特にそういうの好きな女子という設定ではない。

「でも、同じバンド練習やってても、なんで女子のほうは日焼けのあと、くっきりしないの?」

 わたしは適当に答える。

「んー、そこらへんはエフェクト・マジックかな?」

 ふたりは女体化して地元の素朴な男子の釣りをしていたが、他の本物の、物語部&オールスターズの女子は網を張っている。つまり波打ち際でビーチボールとかで遊んで、地元の素朴な男子団が来るのを待っている。

 物語戦隊の嘘オレンジであるわたしの姉、樋浦遊久はいろいろ小さいので、小さい子でも大丈夫な青紫色の、スクール水着みたいな水着を着ている。

 嘘パープルの千鳥紋先輩はピー・グリーン色のホルターネックのビキニで、今までにわたしが見たことがないような笑顔ではしゃいでる、もしくははしゃいでいるふりをしている。

 サポーターメンバーのひとりで、アニメの中ではしょっちゅう見かけるが実物では見たことがない金髪ツインテールで碧眼で本体はきつねのはるちゃんは、背丈はあまりないけれどわたしの姉よりもしっかりした体形で、オレンジ色のモノキニという、いかにも人を騙しそうな水着を着ている。

 同じくサポーターメンバーで声優でわたしのクラスメートでもある松川志展ちゃんは青の、いろいろフリルがついていきなり動画や画像がネットにさらされても問題がない程度の露出の、アイドル声優みたいなキャミソールビキニを着ている。

 水着ではない和可子さんと一緒の、物語部員の中では女体化した備くんの次にボリューム感がある嘘ホワイトの年野夜見先輩は黒の露出度が高いビキニで、「海辺の生き物図鑑」みたいなものを見ながら、潮が引いた岩場の生き物を観察している。

 だいたいわかったと思うが、みんなの水着の色は髪の毛もしくは瞳の色の補色なのだ。

 わたしはビーチパラソルの下で、みんなのビーチサンダルやパーカーやバッグの見張り番をする予定だったのだが、備と醍醐くんにその場所を乗っ取られたので、その近くの、ほどほどに湿っていた砂で城を作っている。

 今のところ釣れたのは子供ばかりだったのだが、わたしの背後のほうから、声からしていきなり美人っぽい女性の声がする。

「わー、それクラック・デ・シュヴァリエ、集中様式の砂の城だね。昔行ったことあるけど、今はもうだめなんだろうなあ」

 振り向くと日に焼けた肌と麦わら帽子の、年齢不詳だけど多分わたしよりは若くなさそうな、明らかに美人の地元の人。

「どうもはじめまして。キムラケイコと言います」

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