5-4話 適当なパーティ同士の戦闘描写
「とりあえず、挑戦状を受け取ったときから戦いははじまっているんですね、遊久先輩」
「そういうことだ。年野、この巻物をスキャンしてみろ」
「…ものすごく緑っぽい毒がありますが、即死するレベルではありません」
樋浦遊久先輩は、刀の先で用心深く巻物の封を切って中身を読んだ。
「わたしたちを甲とし、対戦者を乙とする。甲乙両者は相手に対し、正々堂々と、フェアプレイの精神で戦うこととする。不正もしくは戦闘方法に異議があった場合は、双方とも誠意を持った話し合いを行うことにする。話し合いで決着がつかない場合は…なんかここらへん、法律用語が多くて難しいな」
「挑戦状というより契約書ですね。でも印鑑なんて持ってきてないからなあ」
「代表者の拇印でも大丈夫だ」と、あちらの物語部の千鳥紋先輩は言ったので、代表者として遊久先輩が判を押した。
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「待ちかねたぜ!」と、柄の悪いあちらの年野夜見先輩(男子)は、こちらの樋浦遊久先輩に大刀で、火花が出るような攻撃をかけ、遊久先輩はかろうじてかわした。
「おれのほうも、お前とはとことん、拳で語り合ってみたいと思ってたぞ、立花備」と、元気でスタイリッシュな市川醍醐(女子)は言った。
「望むところだ」と、おれは答えた。
接近戦の場合は、遠距離攻撃担当は狙いが定まらないので戦いに参加できない。しかし背後の、おれたちの魔法系はやられないよう用心しないといけない。
「清、いちおうでっかいフィールドを張れ」と、俺が言ってる間に早くも、あちらの樋浦清(性別不明)による第一の矢が、年野夜見さんを目がけて飛んできたが、なんとか間に合った。
「こ…これは重いよ!」清の足が押されて少し後ろに引いた。
その隙に匍匐状態の市川が、あちらの清の足元を撃ったので、相手は軽くふっとんで体制を崩した。
「一撃必殺のライフル弾もありますが、やはり防御が固いのでAPI弾にしました」
「よおし、突撃だ」
おれは撃破の指示を出したが、相手はどうやら個別のフィールド内で防御を固めているらしい。防御魔法はあちらの樋浦遊久先輩(男子)のほうが上らしい。薄い銀色の半円形の膜に守られて、おれのパンチは虚しく市川醍醐(女子)の手前50センチほどで止まった。
「あんまり時間を空けると、そろそろ詠唱系の召喚魔法攻撃が来ると思うので、用心してください」
横倒しになりながらもあちらの樋浦清(性別不明)は一度に6本の光の矢を放った。身の軽い俺と市川はなんとか避けたが、遊久先輩は、先輩にしては重装備なので右横腹を弓がかすった。
「あいてててて、いてーよこれ。相手のほうが全然強くて戦い慣れてるし、この剣重いし、もう嫌だよ俺」と、遊久先輩がグチを言いはじめた。
「あきらめないでください。これは、どちらがリアルなのか、真実を賭けた戦いなんです」と、おれは言った。
そうこうしているうちに、あちらの千鳥紋先輩(男性)の召喚が効いたらしく、曇天の空から無数の火の玉が降ってきた。




