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物語部員の生活とその意見  作者: るきのまき
5・立花備の物語・その2
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5-2話 今回は今までバトル要因が足りなかったのでバトル回にする、と生徒会長は言った

 生徒会室にはロの字型に並べられた会議用机が置かれており、窓際には数人今のところどうでもいい人が座っていた。

 黒板の前には一般教室と同じような教壇があり、そこには真面目そうで美人の、かなり胸のある女子高生がいた。

「ご足労いただきかたじけない。恐惶謹言、相たてまつり申し上げ候」と、彼女は教壇を回っておれたちのほうに来ながら言った。

 樋浦遊久先輩はすかさずバッグから取り出した拳銃(グロック17で、弾は9x19mmパラベラム弾)を両手持ちにして、相手の胸を3発撃った。おれと同じく何が起こったかわからない生徒会長とおぼしき女子は、撃たれた胸を押さえたが、遊久先輩はさらに頭に1発撃った。額に永遠とつながっているような黒い穴が開くのをおれは見た。

 教壇を背後に倒れた美人さんを遊久先輩は蹴飛ばし、とどめに6発をぶち込んだ。

「な、何をするんですか遊久先輩。筒井康隆のパラマウント時代の小説じゃないんだから、そんなめちゃくちゃな」

「大丈夫だ、弾はまだ残っとるがよう」

 あわてふためいているおれと、落ち着いている遊久先輩だったが、教壇の後ろから、今度は少し頭が軽そうで美人の、胸は普通ぐらいの大きさの女子高生があらわれた。

「いやー、ごめんごめん。でもちょっとひどすぎるよね、いきなり殺すなんてもう、遊久ちゃんたら何すんの、みたいな。物語じゃなかったら死んでたところだ、みたいな」

 どうやら生徒会長とおぼしき女子は遊久先輩の肩を叩きながらそう言ったが、先輩はバッグから小太刀を取り出してその女子の胸を一刺しにした。二尺ほどの長さの小太刀は女子の胸をつらぬき、先輩がそれを抜くとどっと血があふれ、先輩が返り血を浴びて死体がふたつになった。

「えーもう、どうするんですか遊久先輩。生徒会室中血まみれじゃないですか。おれが作る物語じゃ始末つけられないですよ!」

 そうこうしているうちに教壇の後ろから、今度は少し気弱そうな美人の、胸はやや小さめの大きさの女子高生があらわれた。

「あ、あの、私の出番なんですか? どうもいろいろ申し訳ありません、お呼びだしして」

「よおし、やっと話のわかりそうな奴が出てきたな」と、遊久先輩は小太刀を放り投げて言った。

「ざっくり話を聞こう」

「ざっくり申しますと、物語部のみなさんには、これから戦ってもらわなければならないのです」

「え、どうして? 何のために?」と、おれは言った。

「この話には今のところ、バトル要因が少ないので、もうひとつの物語部と、どちらが本物か生死をかけた戦いをしてもらうのです。あちらのかたがたが、もうひとつの物語部なのです」

 そう言って生徒会長とおぼしき女子は、窓際の、今までどうでもいい人たちを指差した。

「というわけだ、面白い勝負になりそうだぜ」と、女子高生に見えるが強気で目つきの悪い、どう見ても市川醍醐みたいな子が言った。

「茶番だな」と、男子高生に見えるが何考えてるかわからない、どう見ても樋浦遊久先輩みたいな子が言った。

「俺の刀は血を欲しているぜ」と、男子高校生に見えるが攻撃的な、どう見ても年野夜見先輩みたいな子が言った。

「あっ、あの、この物語部でもわたしの性格は変わらないんで」と、タイトスカートをはいている、どう見ても樋浦清みたいな子が言った。

「ふざけるな、こんな話のどこがリアルだ」と、男子高生に見えるが少しかわいい、どう見ても千鳥紋みたいな子が言った。

「賭けるものは生死だけではありません、宝とそのありかを示した地図です」と、女子高生に見えるが冷笑的な、どう見てもおれみたいな子が言った。

 あちらの物語部は女子3で男子3なのか。でも考えてみたらあちらの樋浦清はスカートはいてるだけの男の娘かもしれない、とおれは思った。

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