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1 誓い
『我、エルバート・ランドは、生涯、アイリーン・ベアハルトとグレッグ・ベアハルトを裏切らないと誓う。
アイリーン、大人になったら、俺と結婚してくれ。それで、俺と二人でグレッグを助けてやろうぜ』
二ッと笑って差し出された手に、私は嬉しくて泣きそうになりながら手を重ねた。エルバートは真昼の太陽より眩しく笑うと、ぎゅっと私の手を強くつかんだ。それから、左の指でちょいちょいと兄さんを招き、兄さんにも手を重ねるように要求した。
兄さんは肩をすくめ、それでも苦笑して一番上から私たちの手を握った。
『この誓い、グレッグ・ベアハルトが確かに見届けた! 我が親友と、愛する妹に、輝かしい未来のあらんことを!』
十三年前、真夏にあの丘の木の下で交わした幼い約束。
「くたばれ。エルバート・ランド」
私は小声で悪態をつき、踵を返して窓辺から離れた。