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どうして、わたくしは生まれてきたのでしょう。
どうして、わたくしは生まれてきたのでしょう。
生まれてこの方、紅茶一滴さえ飲んだことないのに、こんなにも紅茶のことばかり。
「……の息吹を感じとる空気が……」「……った背中まで追いつくた……」「……に月が綺麗ですねと告白を……」
どうして、わたくしは行くことができないのでしょう。
霧雨に降られて、かつて愚かしくも輝かしかった亡霊の声を聞いて、こんなふうに取留めもなく。
「……の雨を防ぐ塹壕を揺るが……」「……った債権に埋もれ呆けた……」「……に暮れた者たちは火の手を……」
どうして、わたくしは寂しさを覚えているのでしょう。
そんなの理由は明らかで、滅びの業火に灼かれたケーキを食べているかぎり、わたくしも同じように滅ぶことはできないから.