旅の途中で魔王を拾ったんだが
それは突然だった。私の背後から冷たく胸を刺すような声が聞こえてきた。
「我の闇より暗き眠りを妨げるは貴様か。見たところ人間のようだが。ふん、下等生物風情がつまらぬ事を。我が魔王と知っての事か。」
それがなんなのか、思考回路がめちゃくちゃになる。どういうことだ。魔王と言ったのか。私には今起きてる出来事が理解出来ずにいた。
「ふん、恐ろしくて声も出ぬか。これは憐れんでよいのか蔑めばよいのか困ったものだ。」
だがもう間違いない。私が背におぶらせているこの少女が魔王と言ったのだ
「だが許さぬ。我は魔王、蟻の反逆すら許さぬ。我が眠りを妨げた罪と困らせた罪は重い。貴様は我の暗黒破滅崩壊駆逐魔法で撲殺してくれよう。はーっはっはっはっはっはっはっ」
どうしてこうなった。旅の途中で助け私に背負われている少女。この思春期特有の暴言とも迷言ともとれる言葉を流暢に話す少女はどうやら魔王らしい。
~これは魔王を討ち果たし
伝説となった勇者のその後を描いた物語~