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ソートフルフィールド

 何でも思いが叶う能力ーソートフルフィールドー

 俺はこの力を神に授かった。

 なぜ、世界はこんなにも良いものになったのか。

 それはある、初夏の話である。



 「裏山に行ってくるよ!」

 時刻は、朝の六時半頃だ。

 まだ少し眠いが、家のすぐ裏にある神殿山に登った。

 やけに静かだ。

 「鳥の声が聞こえないとか、珍しいこともあるな~」

 頂上付近に着くと、見知らぬ女の仙人がいた。

 そこで挨拶をする。

 「おはようございます!」

 「蒼天さん! 私の名は、サンタサマーシェアハピネです!」

 何を言っているの分からない。

 「え~と……どういう意味ですか?」

 すると、いきなり呪文みたいなものを唱えられる。

 「なっ、何ですか!」

 「蒼天海璃さん! 人生はもっと楽しくなります。だから、決して自分に負けてはなりません! できる限り頑張るのです」

 真っ暗になった。

 目を覚ますと、家のベッドでぐっすり……

 どうやら、裏山に行ったのは現実ではないみたいだ。

 「あの仙人謎だな! しかも、両親はどこかに行ったまま帰ってこないし……」

 そう言ってカレンダーを見た。

 今日は、七月七日の金曜である。

 つまり、現在高校生の俺は学校に行かないといけない。

 もう時間は七時半を少し過ぎたくらいだ。

 言うのであれば、遅刻をするちょっと前……え?

 「こんなのはよくある話だ!」

 急いで制服に着替え、朝食は昨日の残り物にして家を出た。

この状況に心が叫ぶ。

 「何で上手くいかないの? もっと良いこと起きてくれよ!」

 俺も思う。

 だって、自分自身がそう言葉にしているから。

 ここで更に欲が出てくしまう。

 「自分の走るスピードが、三十キロくらいだったら学校の遅れなくて済むのに……」

 心の声が聞こえる。

 『何を言っているんだ? 俺はもう小学生じゃないだろ』

 その通りだ。

 でも、今はそれより〈なぜ本当に足が速くなったのか〉ということが気になっている。

 「走るスピードが速くなり過ぎているような? でも、別に良いよな……」

 少し遠くに、自転車らしきものが見えた。

 だが、それは前に進んでいるにもかかわらず、だんだん近づいてくる。

 「どういうことだ? つまり、俺は本当に三十キロくらいの速さになったというのか」

 ところが予想はちょっと違う。

 自転車だと思っていたものは、実は高級な自動車だった。

 それに、乗っていたのは、近所のおばさんである。

 車には、二人の子供も乗っていた。

 「高級な自動車が、普通こんなに遅いか? 目の錯覚にもほどがあるだろ。もう、頭がどうにかなりそうだよ」

 ――今、なぜか俺は車の隣を寄り添って走っている。

 車のメーターが、六十キロくらいになっているのも見えてしまう。

 「俺は、もしかして物凄いスピードで走っているのか? おばさんもビックリしてるし……」

 この状況は一体? それに、ありえないことばかり起きているのになぜ、おばさんは平常心を保つことができるのか疑問である。

 「まあ、結局のところ自動車くらいの速さになっていたのは事実だった……え? 本当に思ったことが現実になったのか?」

 そんなことを言っていると、いつの間にか学校に着いていた。

 廊下を通って教室に行こうとしたら、中学校からの友達で、今も同級生の「星野輝那湖」に出会う。

 「海璃、おはよう~いつもだったら来るのが遅いのに、今日はちょっと早くないか~ってね!」

 朝から、テンションが高めの星野に構いながら教室に入った。

 「おはよう! 今日、いつもより早く来たのには理由があって……まあ、簡単に言えば車くらいの速さで来たからかな~」

 「そんな馬鹿げた話あるわけないじゃないってね!」

 心が俺に語り掛ける。

 『星野の裏は怖そうだ……』

 そうして、二人はそれぞれの席に座った。

 席順は、俺が真ん中の一番後ろで、その右が星野で、左側にはもう一人の友達の「桜木香恵」がいる。

 「おはようー桜木!」

 「おはようございます! 海璃くん。今日は、久しぶりにテンションが高い? 様な気がする……たぶん?」

 桜木はちょっと優柔不断な子だ。

 「桜木相変わらずだな」

 「いや、別に~わざとじゃないです……よ? これは私の変なところだと思います。はい、たぶん……いや分かりません」

 その話をしている時に、俺に落ち着きのないことを言う奴が現れた。

 それは、学校中で有名なテンションが高すぎることで知られている、伝説の女子「冬風雪音」である。

 最悪なことに、俺がいる席の前だ。

 「おはよう~蒼天くん! 今日は、やけにテンションが高いね。どうしたの? 何かあった……あ~そっか告白……いや、されたんだ~それは良かったね!」

「いやってなんだよ! しかも、良くね~……え⁉」

 今の状況――女子からの冷たい目線と、男子から後でボコボコにしてやるオーラが出ている。

「もう、雪音。この空気どうにかしてくれよ~」

 すると、教室のドアに人影が。

 ここで登場したのが、桜木のお母さんにしてクラス担任の「桜木優実」先生である。

 「は~い、みなさ~ん! 自分の席に着いてくださいな~はい! 今日も授業がんばりますよ~えいえいお~!」

 『おー!』

 嫌な雰囲気が出ていた教室が、一瞬にしてして和んだ。

 朝の会が終わり、ニ十分休憩になった。

 俺は、さっきの話をしようと雪音がいる前の席に行く。

 「雪音? 人のことを勝手に決めつけるのは良くないと思う。だって、その人が困……」

 「分かる! もう知っているの。冬のこと好きなくらい」

 やっぱりこうなりますよね~雪音さん!

 「何で人の話を最後まで聞か……」

 「ない! かないよ~告白なんて悲しいよ」

 こっちが『ない!』だよ。

 「話を最後まで……聞いてくれ~」

 雪音はその言葉を無視してどこかへ行ってしまった。

 あの思い込みは、異常すぎるだろ。

 それにしても、今日はみんなからの視線が痛い。

 「冷たい」

 俺は、気を変えるために、いつも星野と桜木がいる屋上に行った。

 階段を上がり、目の前に出てきたこの扉を開ければ……

 「ふぅ~涼しい!」

 一気に爽快な風が吹き抜ける。

 「あっ、海璃が登場しました~ってね」

 「えっ⁉」

 「海璃くん! 入りました~……たぶん?」

 星野に便乗して桜木の頭の中までぶっ飛んでしまったようだ。

 ちょうど、そのことを思ったタイミングでチャイムが鳴った。

 「じゃあ、星野は先に教室に戻るね!」

 「私も一緒に行きます……たぶん?」

 それから、あっという間に時計の針が進み、十一のところを指す。

 もう、四限だ。

 今日は、学園祭の準備で、俺たちの出し物は『最高の夏祭り!』という題名のものである。

 内容的には、日本の伝統的な夏祭りをイメージして、七月下旬に実施するという提議だ。

 そこで、現れたのが俺の一番苦手な先生「炎龍紅蓮」である。

 「こんにちは! じゃあ、頑張っていきましょう。まず、学園祭をどんな感じにしたいのか意見のある方は手を上げてください」

 やっぱり、この先生は苦手だ。

 『仕方のないことだろ!』

 心がそう訴える。

 まあ、確かにそうだな……

 だって、他の人は『好き』と思っているかもしれないから。

(顔も良い。先生になるぐらい頭もできる。しかも、優しいから歯が立たない)

 だから、思ってしまった。

 『良いな~授業早く終わらないかな~?」

 すると、先生が急にどこかへ行き、授業が途中で中断する。

 それから、昼食を食べて下校となった。




 ――学校の帰り――

 星野、桜木、雪音、俺の四人で道の途中にあるスーパーに寄った。

 俺は、もちろん晩飯の弁当を買いに来たのだが、ほかの三人はどうやら材料を買って料理を作り、経費を削減しているらしい。

 「本当に今日は不思議なことばかり起きたな~」

 「何?」

 三人の言葉が重なった。

 「いや、なんでもない!ところで、みんな料理が得意そうだけど作れるのか?」

 「えっ⁉」

 三人とも驚く。

 その時、星野が言った。

 「料理?いや~星野は、得意とまでは言わないけどーってね!」

 「私も、そこまで得意では、ありません……たぶん」

 桜木もあまり得意ではないという。

 心が話しかけてくる。

 『じゃあ、何で作ろうという気になるのですか?』

 まあ、『俺が人のことを言える立場ではない』ということは分かっていた。

 なぜなら、俺は料理を作った経験が、学校の調理自習以外ないのだから。

 俺は考えた。

 じゃあ料理をしてみて、人のことを言える上手さになったら、みんなに振舞おう。

 ちょうど、そのことを思ったタイミングで、突如、高級料理が用意されたテーブルが現れる。

 俺は、その料理にソースをかけるだけの仕事だった。

 確かに、料理を振る舞おうとしていたのは事実だが、頭の中ではやりたくない細胞が活性化し、振る舞おうとしていたものが、ソースをかけることだけになっていたみたいだ。

 「俺? 何で、こんなことを……」

 そこで、雪音が空気の読めないことを言った。

 「りょっ、料理は得意よ! でも、なぜ急に高級料理が現れたの?それはともかく、私は、デザートを作るのことがプロ級ね。え? 蒼天くんも食べたいの? 分かった。今度、作ってあげる」

 「いや、作ってくれるはありがたいけど……って、今はそれどころじゃないだろ!」

 現実では、凄いことが起きているのに、雪音からしてみたら大したことないらしい。

 まさに、異常なことが正常で、正常なことが異常の様だ。

 すると、雪音が変なことを口走った。

「ゲームしてみたら?」

 


 

 

 

 

 




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