運命のメガネに出会うとき
─あれは運命のメガネだった─
最近黒板が見えなくなってきた。
見えなくって言ってもまだ見えにくいってだけで辛うじて見える。
(そろそろ買わなきゃな…)
このままじゃ生活に支障がでそうだ。
ってか黒板見えない時点で支障ありまくりなんだけどね。
おかげで隣のヤコにノート借りまくる始末だし。
「ねーヤコー。またノート貸してー。」
「おー…ってかまたヤコって呼びやがったな!ガル!」
ぼやきつつもノートを差し出してくるあたりヤコはお人好しだと思う。
「いーかげんヤコって呼ばしてよ。俺が付けてやった名前だろー」俺がヤコと出会ったときにつけたあだ名。
山口黒歩だからヤとコを取ってヤコ。
幼いときだったから安直な決め方だったけど、俺はヤコってすごく気に入ってる。
「だってーなんかコってついてるの女っぽいんだもん。」
「ならお前だってガルって呼ぶのやめろよな。」
「え、それはムリwwwだってガルってメガネかけ」
あわててヤコの口を塞ぐ。
「ちょ!それは言わない約束だろ!」
ヤコしかしらない秘密。
他の人には知られては行けないすんごい秘密。
ヤコが離せって抵抗するので一応力を緩める。
「だって!あのガルみんなに見せたいんだよ!メガネかけ」また口を塞ぐ。
全く油断も隙もないんだから。
まあ、こうなるのがわかってたから"一応"力を緩めたんだけどね。
あれだけは絶対に知られてはならない。
例えなにがあっても…。