第84話
ーーーー大和艦内
救助されたシリアナ帝国軍のうち重傷者はほとんどが日本艦隊の病院船に収容された。そこには艦隊が壊滅し降伏の指揮を取ったドク艦長も含まれていたが彼は服装などから階級が高い人物であると認識され、病院船にて治療後、大和の衛生室に収容された。
「ん・・・・?ここは・・・?知らない天井だな・・・」
彼は目が覚め、あたりを見回す。
【コンコンッ】とドアが叩かれ中に軍服を着た兵が入ってきた。草鹿である。
「目が覚めましたか。あなたは一週間寝られておりましたよ。」
「一週間、そんなに寝ていたのか・・・。ところで貴官は?」
「これはこれは申し遅れました。私は日本艦隊司令長官の草鹿龍之介です。階級は大将です。」
「あ、私はシリアナ帝国海軍艦隊旗艦ウォール・ストーン艦長ドクです。階級は一応大佐ですがもう元ですね。艦ももう無いでしょうですし」
「おっしゃる通りあなたが乗っておられた艦は救助の二時間後に海に消えていきました」
「一週間寝ていたということは戦況もだいぶ変わったのですか?」
「日本側からしかわかりませんがそれでもかまいませんか?」
「問題ありません、私も軍人です。如何なる状況でも落ち込んだりはできませんから」
「わかりました。それではこの艦、大和の艦内案内をしつつご説明しましょう。それに外の空気も吸えば少しは落ち着くかと思いますし」
「そうですね。では参りましょうか。」
そうして二人は衛生室を出、外に向かって歩き出した。




