第83話
遅くなって申し訳ないです
――――シリアナ帝国艦隊
どれほど時間が経ったろうか、床に倒れていた艦長は体を起こした。
艦橋内部にいたはずなのに空が見え当たりは静まり返り、遠くで爆発音がしていた。すると水兵の1人が艦長に気付いて寄ってきた。
「艦長!?生きておられましたか!?」
水兵はまるで艦長はとっくに死んだみたいな顔で問いただして来た。
「なんとか生きているが状況はどうなっている?」
艦長はかすれ声で水兵に聞いてみた。
「二番艦は爆沈、本艦は大破、炎上中であり航行はなんとか可能な状態ですがそれも時間の問題かと・・・」
二番艦が爆沈し一番艦である自分の乗っている艦も死にかけの状態を聞き艦長はうなだれた。そして艦長はしっかり自分の目で見たく水兵に肩を貸してもらいながら艦橋の外に出ようとしたとき足元に何かがあった。
「ん?・・・嘘だろ・・・」
それは右肩から手のひらまでのちぎれた誰のかもわからないものだった。だが艦長であるドクはすぐに誰のかわかってしまった。ダルラン提督、彼のだった。戦闘開始前に目に映ったダルラン提督の腕に付いた腕輪。それが床に落ちてたそれに付いていた。彼はすぐに水兵に聞いてみた。
「おい、提督はどうした?」
「残念ですが、ダルラン提督は戦死しました。敵砲弾の直撃にあったらしく・・・」
「そうか、わかった。艦隊の指揮は今誰が執っている?」
「いえ、誰も・・・」
「ならば、俺がとる。それと総員退艦と後続艦に救助を頼め。白旗も忘れるな。撤退しても敵の速度では追い付かれて沈められるのがオチというやつだ。」
艦長の言葉にその場にいた全員が一度は固まったがすぐに各々動き始めた。
――――大和艦橋内
時は少し遡る。時間は大和が主砲を発射した直後。
「敵先頭艦に全弾命中」と観測員が叫んだ。
「状況は?」草鹿が聞いた。
「1隻は轟沈ないし爆沈した模様、もう1隻は大破炎上中です。ですがそう長くはないでしょう。」
「そうか。ならば放っておいても沈むだろう、後続の敵帆船は半分だけ残してあとは沈めるだけ沈めろ。」
「了解しました。」
その後大和を含む日本艦隊だけじゃなく米艦隊や独艦隊によって壊滅的被害を被ったシリアナ艦隊は白旗を掲げ攻撃を停止した。
「通信士、全艦に射撃中止命令と敵艦乗員の救助を行うよう指示を出せ。」
「はい。」
「航空参謀、敵港湾施設に対する攻撃はどうする?」
「そのことなんですが、敵艦隊は壊滅。港湾施設攻撃してもすぐに新しい艦が造れるわけでもないと思ういますので攻撃を敢行せず、このまま艦隊を向かわせて上陸したほうがよろしいのでは?」
草鹿と航空参謀が話しているときに後ろから参謀の宇垣が口を挟んだ。
「そうです、上陸作戦をやりましょう。後方には陸軍及び海軍陸戦隊の輸送船団がいることですし」
「そうだな、ではそうしよう。日本艦隊はこのまま敵港に全速前進。米艦隊と独艦隊は帰投するよう通信、協力に感謝すると添えてくれ。」
「了解しました。」
シリアナ艦隊との交戦後、聯合艦隊は別れ日本艦隊は敵海軍基地に米及び独艦隊は帰路についた。
仕事柄、更新が遅くなります。




