第79話
すいません、遅くなりました。
――――二日後
シリアナ帝国の南の海上を日独米聯合艦隊が航行していた。艦隊の総司令長官兼日本艦隊指揮官は草鹿龍之介海軍大将である。彼は史実ではあの南雲忠一の参謀を務めたことで有名だと思うがこの世界では彼は南雲より階級が上のため参謀ではなく艦隊司令に命ぜられたのだ。そして米艦隊はハルゼー中将、独艦隊はデーニッツ中将である。二人とも史実とは違い大の親日家である。ここまで新日となったのは、米国もドイツも指導者が日本人って言うのもあるかもしれないが、秋津島及び日本帝国からの輸入品のせいってやつもある。特に漫画やアニメが彼らをそうさせたと言っても過言ではない。
さて、話は戻る。聯合艦隊の総旗艦、大和の艦橋では秋津島の偵察衛星の情報を受け取っていたところだ。
「司令、秋津島より偵察衛星の情報が入りました。」
「うむ、続けてくれ黒島参謀」
「はい」
通信室から情報を持ってきたのは聯合艦隊主席参謀の黒島亀人大佐である。
「報告によりますと蒸気船と思われる艦、2隻と帆船らしき艦の60隻。合計62隻がこちらに向かっているようです。」
「それだけか?」
「はい、なにぶん衛星ですので上から見た情報しかなく・・・、偵察機上げますか?」
「見て来てもらったほうが早いな。航空参謀!葛城とエンタープライズに下命!偵察機を各三機発艦させて敵艦隊がいる方向に向かわせろ!敵に見つからないようできるだけ注意するよう伝えろ」
「了解しました」
――――空母葛城
「艦長!大和より発艦命令!偵察機三、米空母エンタープライズの偵察機と協力して敵艦隊を見つけよとのことです!」
「了解したと伝えろ」
「はっ!」
――――葛城飛行甲板
飛行甲板上にはエレベータで上に上がってきた試製景雲が待機していた。この試製景雲はF―4を元に開発された双発噴式艦上偵察機である。
「俺の初の実戦が海上偵察でしかも初めての機体が噴式とはなぁ」
彼は去年の四月に航空大学校を卒業したが海軍には今年入ったばかりでしかも海軍航空隊に配属されて数日しか経っていなかった。
その後エンタープライズからAD―2スカイレーダー3機と葛城から試製景雲が3機発艦した。
――――聯合艦隊より500キロの海上
ここにはエンタープライズから飛び立ったスカイレーダーの3番機が偵察行動を行っていた。
3番機のパイロットは首をあっちこっちに向けて艦隊を探していたのだがそろそろ首が痛くなってきたところである。
「首が痛くなってきたよ。敵はどこにいるんだ?・・・お?」
もうやめたい帰りたいなぁと思った時彼らは現れた。
「あれだな!『こちら米空母エンタープライズ所属スカイレーダー三番機、総旗艦ヤマト、敵艦隊を発見した。』」
大和艦橋ではスカイレーダーからの報告を待っていましたと言わんばかりの状態になっていた。
『大和よりスカイレーダー3番機へ情報は出来るだけ正確に報告せよ』
『了解した敵艦隊は全部で64隻、複縦陣で我が艦隊に向かっている模様』
「どういうことだ?秋津島の衛星には62隻しか映って無かったはずだが2隻多い」
大和艦橋にいた黒島大佐は疑問符を浮かべた。黒島は確認のため聞き直した。
『64隻で間違いないのか?』
『何度数えても64隻です』
『艦種はわかるか?』
『はい、先頭2隻は蒸気船と思われる戦艦2隻です。その後方には帆船が60隻。帆船で蒸気船について行ってるので、高速帆船と思われます。その帆船艦隊の中に妙に平たい船、恐らく空母と思われる船を2隻確認できます!』
「空母だと!」
「敵には航空戦力は無いはずだろ!?どういうことだ!?」
空母らしき艦影いるという報告に大和艦橋は慌てていた。
「空母がいるのなら偵察機あぶないのでは?黒島大佐、すぐに帰還命令を!!」
「ああ、『全偵察機に次ぐ敵に航空戦力があると思われることが確認された任務を中止し即刻帰投せよ』
この時敵の迎撃機は無かったため全機無事に帰投出来た。




