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第78話

――――シリアナ帝国・皇宮

皇帝の部屋に海軍大臣が訪れていた。


現在シリアナ帝国の陸上兵力の騎兵や歩兵が主体だが最近は海軍にも力を入れ始めている。特に最近グランピエール王国が発明した蒸気機関に目を付け技術提供してもらい蒸気船を開発。しかし蒸気船と言っても江戸時代の幕府海軍が持っていた蒸気フリゲート艦『開陽』とよく似た船だった。その後開発に開発を重ねた結果出来たのが戦艦『ウォール・ストーン』である。性能や形は明治海軍が所持していた初代扶桑型戦艦とほとんど同じだった。だが、明らかな鉄資源の不足により完成したのはわずか二隻だけだった。

陸上兵力と海上兵力との技術力や文明力の差が大きすぎたためってのもあるが海軍軍艦建造のために必要な鉄資源を作るための鉄鉱石の採掘速度が間に合っていなかったのだ。


そんなことなっているにもかかわらず、海軍大臣は皇帝に海から総攻撃してはどうだろうと意見していた。最初は皇帝も首を横に振っていたが、大臣の説得により皇帝は最終的に許可をしてしまった。



――――シリアナ帝国・軍港「カール」

ここカールは元々は市場などがある賑やかな港町だった。しかし帝国が海軍を作り軍艦を配備させたとたん帝国はカールを国民から取り上げカールに住んでいた市民は東の町に追いやられた。

そして、今、カールには開陽タイプの軍船60隻とウォール・ストーン級戦艦2隻が停泊していた。

「おい、聞いたか?例の話」

「ああ聞いた聞いた。帝国初の海戦になるかもってやつだろ?」

「そんなどんなやつらかもわからないところと戦いなんて勝てるのか?」

「まぁうちの船じゃ負けるかもだけど、ほら王国からもらった甲鉄艦・・・だったっけ?あれが2隻いるから勝てるだろう?」

「それもそうだな」

軍船の上で2人の水夫が談笑していた。

「しかしなんだぁ、まさか鉄でできた船が水に浮くとはなぁ。今までの常識が覆っちまったなぁ」

「ああ、普通鉄ってのは沈むじゃん?今まで鎧を付けたまま水に沈んで死んでいった友達を何人見てきたか・・・」

「俺もだ・・・」

2人の会話は船の話から死んだ友達の話に変わり、どんどん話が変わっていくのだった。


――――艦隊旗艦ウォール・ストーン艦橋

2人の水夫が話をしていたころ旗艦の艦橋では初代艦隊司令に就任したダルラン提督とドク艦長が作戦を練っていた。

「今回の作戦ですがどういう布陣で行かれるのですか?提督」

「相手の戦力は未知だ、しかしこの甲鉄艦が2隻もいれば勝てるだろう。」

「ですが提督、海軍本部からの報告によるとやつらは飛行機械を持ってるそうです。もしかすると海軍も発達しているのでは?」

「君、ネオバス共和国は飛行機械を持っているがもちろん海軍も持っているだが飛行機械の開発に力を入れているためか海軍の戦力はどうだ?我が軍と互角に戦えると思うか?」

「ですが提督・・・」

「そう心配するな艦長、やつらの船とてまだ木造船だろう。甲鉄艦を2隻右と左に行かせて両側から一斉に撃てば難なく終わるはずだ」

「そうだといいんですが・・・」

艦長の不安な気持ちはこの後現実のものとなる。


――――日本帝国本土

時を同じくして帝国本土では陸からではなく海から仕掛けようと準備を進めていた。この作戦には日本だけでは無く米国とドイツも参加を求めてきた。英国とソ連は海軍に力を入れているが何故か前に進めていないのが現状だ。

ちなみに今回の作戦に参加する艦艇だが、日本からは戦艦大和と空母葛城、それから駆逐艦20隻だ。大和はシリアナ帝国との開戦直前、新規建造を行い船体が2倍近い大きさで主砲も60cmという強大なものになった。元あった大和は廃艦解体になり新たに駆逐艦や新型戦艦の建造に回された。他の大和型戦艦もこっちに移るよう、順次建造及び解体中である。

それから米国からは戦艦アイオワとモンタナの各一隻と空母エンタープライズさらに重巡及び軽巡が20隻、でドイツからは戦艦ビスマルクと巡洋戦艦シャルンホルスト、駆逐艦50隻の参加予定である。

これらの艦艇は横須賀及び東京湾沖に集結し秋津島の横須賀及び東京湾で補給を済ませ戦場に向かう手はずになっている。空母を連れて行くが基本は艦隊決戦で行くつもりである。

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