第74話
――――朝シリ街道
機銃掃射及び爆弾攻撃により密集隊形で進んでいたシリアナ軍は壊滅状態にあっていた。アルフレッドが気を失っている間に攻撃はなんと2度行われていたのだ。一回目の攻撃で手ごたえを感じなかった3機は弾切れになった後すぐに弾薬の補給と全機に爆弾を取り付けてやって来たのだ。燃料の補給はしてないからほんとにすぐに上がって来てしまったのだ。彼は30分近く気を失っていた。その間に壊滅してしまっていた。
彼が気づいたとき、3機は上空を旋回していた。
『だいぶ減ったな。これで陸上部隊が簡単に出発出来るな』
寺本が話した。それにこたえるように永井が言った。
『でも、指揮官らしい奴を見つけられなかったのが残念かな?』
『ああ、おそらく最初の爆弾で吹き飛んだのかもな』
そう話をしている二人に長瀬が何かを見つけたように言ってきた。
『おい、あそこに走って逃げてる奴、敵の指揮官じゃないのか?』
長瀬に言われて永井と寺本が目を移すとベンダに向けて走って逃げる若者がいた。明らかに他の兵士と違って鎧なども豪華に見えた。
『多分あれがそうだな。よし、長瀬お前が行け。最初の攻撃は俺がもらっちゃったからな』
『いいのか?寺本』
『ああ、ただしお前の腕を信じてあいつの足だけを狙え』
『本気で言ってるのか?あいつを生かしてどうするんだ?』
『すでに基地には連絡してある。時期に救助隊が着くはずだ。そいつらに連れてってもらって、あとは尋問だ』
『なるほどそういうことか、だが足だけとは・・・もし他の何処かに当たった場合は』
『馬鹿野郎!これは上からの命令だ!俺からの命令じゃない!』
『そっかなら仕方ないな、じゃ行ってくるよ』
『頼むぞ!』
長瀬が降下していくと同時に長瀬機の無線が切れた。恐らく集中するために無線を切ったんだろう。
長瀬が追いかける敵兵は長瀬が来ていることに最後まで気づかなかったんだろう、避ける動作もしなかった。そして長瀬が機銃を撃ち、上空を通過したのち敵指揮官、アルフレッドは道に倒れていた。足をおさえて・・・
『こちら長瀬だ。攻撃は成功だ』
長瀬の答えに永井と寺本はホッとした。
『よくやった。帰ったらビールでも奢るよ』
『お?寺本。御馳走様です』
『はいよ』
『おい、寺本俺は?』
『永井、お前何かしたか?』
『ええええええ』
『嘘だよ。お前にも1本ぐらいやるよ』
『わーい』
『よし、2人とも帰るぞ。基地から救助隊がお目見えだ』
『『了解』』
3機は朝日基地に向かって帰って行った。そして入れ替わりに基地から10台の救急車と20台のトラックが出てきた。10台の救急車にもそうだが後方を走る20台のトラックの荷台にも衛生兵が乗って出てきた。もちろん中には護衛のための一般兵も混じっていた。




