第63話
すいません遅くなりました。
空母、ジョージ・ワシントン艦橋
「報告します!横付けした戦艦から司令官と名乗る人物が乗り込み艦長とお会いしたいとのこと!!」
「そうか、俺の部屋にお通ししろ」
「艦長室ですか?」
「ああ、面と向かって話をしてみたい。アルト、お前も来てくれ」
アルトはただ頷いた。エドガーとアルトは先に艦長室で待っていた。すると外から足音が何人か近づいてくるのが聞こえた。やがて足音は部屋の前で止まった。
「みんなはここで待っててくれ。艦長と一対一で話がしたい。」
「「「はっ!」」」
2回のノックが聞こえた。エドガーはすぐに「どうぞ」と言った。入ってきた人物にエドガーとアルトはこれまた驚いていた。なんせ入ってきたのは歴史書や士官学校で習い、太平洋戦争で活躍したあのハルゼー提督その人だったから。
「おい、エドガー・・・嘘だろ・・・!?」
「嘘じゃない・・・、と思う・・・」
部屋の中にあった椅子にハルゼーは腰をかけ、自己紹介をした。
「アメリカ海軍艦隊司令のハルゼー海軍大将です。よろしく」
自己紹介により半信半疑だった二人は本物だということに気持ちを落ち着かせた。そしてエドガーが言葉を発した。
「ハルゼー提督、早速ですがご用件をお聞きしましょう」
「そうだな。では、、、貴艦隊を我がアメリカ海軍に迎え入れたくてな?どうだろうか?」
ハルゼーの問いに二人は固まった。てっきり降伏勧告をしてくるのだろうと思っていた、しかし現実には味方にならないか?と言ってきたのだ。
「聞くところによると貴艦隊は現在我々が戦っている日本と一緒にこの世界に飛ばされてきて祖国を失ったというわけだ。しかも特定の理由でもつけられたんだろう、一緒に戦わせられている・・・。どうだろう、こちらには色々と違うところもあるがあなた方の祖国になりえるであろうアメリカがある。他国である日本を守るより我々のアメリカを守らないか?」
このハルゼーの言葉に2人は、
「少し乗組員と話をさせてもらえないか?」
ハルゼーは頷いただけだった。
~2時間後
エドガーとアルトは格納庫に乗員を集めて話し合いをしていた。
「いいんじゃないのか?新しい祖国が出来るんだし」
「家族はどうなるんだ?」
「家族も来れるのか?」
転移後日本人女性と結婚し家庭を持った軍人も中にはいた。そんなこんなで揉め合っていた。
「こんなんじゃ、すぐに返答できんぞ?ハルゼー提督はどうしている?」
エドガーはそばにいた士官に聞いた。
「提督は、艦長室でアルト中将がお相手してますが・・・」
「そうか、わかった。もう少し相手しててもらわないと・・・」
『艦長!!レーダー照射を受けています』
不意に艦内放送が響いた。エドガーは格納庫の隅にある艦内電話を手に取った。
「どした!?何があった!?」
『日本本土及び本土から来た防衛軍艦艇からレーダー照射されてます!!』
「モリタの野郎、沈めるつもりか・・・」
『今撃たれたら、完全防衛は不可能です』
「了解した」
エドガーは迷った。この場合どうすればいいのかと・・・ここで敵に付くかそれとも乗員家族のために味方に頭を下げるか・・・
「お困りかな?エドガー艦長」
ふと顔を上げるとハルゼーが立っていた。
「艦内放送を聞かせてもらったよ。というよりあれは聞いてしまったという方がいいかな?」
「ハルゼー提督」
「この仕事、私にやらせてくれないかな?」
後ろからは各下士官や兵から声が上がっていた。
「敵に付きましょう!」
「味方に照射するやつなんて味方じゃない敵だ!」
「やりましょうよ艦長!」
「家族は後からみんなで助けましょう」
「皆・・・提督!!」
皆の問いにハルゼーは無言で頷いた。
「ニュージャージー・ウィスコンシン・ミズーリ・イリノイに打電、敵が撃って来たら迎撃するよう伝えろ」
「はっ!!」
ハルゼーは隣にいた士官に命令した。
「ではエドガー大将及び在日米軍の皆さん、ようこそアメリカへ」
この日、米第7艦隊はアメリカに移った。後日、沖縄や横田基地等にいた空軍、横須賀に残っていた海軍は北海道から沖縄にいた米軍を回収し新天地となるアメリカに旅立った。これにより日本を防衛できるのは国防軍のみとなった。
風呂場や寝るときにパッと思い浮かぶのにいざ書こうとすると忘れてしまう・・・




