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第58話

――――竹島沖上空

国防空軍の戦闘機、F‐15Jの編隊は海軍の援護に向かっていた。だが、艦隊上空に到達する前に敵に遭遇した。

「隊長!右上空に敵機です!」

「おいおい、マジかよ。Me-262とMig、しかも初期の頃のじゃねぇか・・・」

「隊長!!攻撃許可を!!」

「全機、攻撃を許可する!旧式機だって舐めてかかるなよ!!」

「「「了解」」」


独ソ空軍と国防空軍が戦闘を開始したころ、国防海軍はほぼ壊滅していた。

「坂井中尉、攻撃隊全ての攻撃終了しました。これより我々は先に母艦に帰ってます。中尉達もご無事で」

「わかったぞ~!気を付けて戻るんだぞ!じゃ、笹井と岩本、例の作戦始めるぞ。もうすぐ艦隊もこちら側に出てくる時間だしな」

「「了解だ」」

坂井はいずもに急降下し紙の入った筒を投下した。投下する前に足を出して攻撃の意思が無いことを伝えていたおかげで攻撃はされなかったが筒を爆弾と勘違いしてCIWSを撃ちそうにはなった。筒を拾った甲板乗員は艦隊の最高指揮官である轟にそれを渡した。そこにはこう記されてあった。

『着艦を求む』と、それを呼んだ轟は許可を出し、坂井機に続いて、笹井機・岩本機も着艦した。

彼らは機体から降りるなり「指揮官と話がしたい」と言った。最初は皆、拒否の姿勢でいたが帝国の指導者から書状を預かっていると話をしたらすんなり会わせてくれた。

「この艦隊の指揮官である轟中将です」

自衛隊から国防軍になってから階級章は世界共通になった。

「お会い下さりましてありがとうございます。自分は坂井三郎海軍中尉であります。後ろにおりますのは同じく海軍中尉の笹井醇一と岩本徹三です」

2人は名前を呼ばれると軽くお辞儀をした。そして3人の名前を聞いて艦橋は少し騒がしくなった。

なにしろ、旧日本軍のエースパイロットの3人が目の前に現れたら、静かにしている方が難しい。

「では、そちらの最高指導者から預かってきたという書状を見せてもらおう」

「そんなもの最初からありませんよ?」

「へ!?」

坂井の返事を聞いて轟は驚いてしまった。書状を預かっているから通したのに持ってないというから困ってしまったのだ。

「では、貴官たちは何をしに?」

「単刀直入にお伝えします。我が軍に降伏してください」

「何を言うかと思えばそんなことですか?冗談はやめてください!!我々は降伏なんてしませんよ!!」「それは本気で言ってますか?」

「あたり前じゃないですか!!」

坂井はふと腕時計を見て、

「時間ですね」

その時艦内無線が艦橋に流れた。

『艦橋、CIC。霧から敵艦隊が現れました!!戦艦10、いや20・・・まだまだいます!駆逐艦を前衛に高速接近中です!』

「轟中将、どうされますか?そちらの艦隊は壊滅寸前。対して我々は300近い艦隊。降伏せずに我々と戦いますか?」

「少し考えさせてくれ・・・」

すると轟は黙り込んでしまった。


―――――10分ぐらい経過したところで悪いニュースが入ってきた。

「中将!空軍が壊滅しました!脱出した搭乗員は海を漂い、救助を待っています」

「空軍が壊滅したか・・・我々にもう戦う戦力は残っていない。横須賀や大湊にまだ艦艇はいるがどれも旧式艦艇ばかりだ。しらねを含む汎用護衛艦やちょうかいを含むイージス艦でまともに勝てなかったんだ、もう戦えないと言っても過言ではないだろう。あとは本土にいる陸さんに任せることにしよう。坂井中尉。我々国防海軍は降伏します」

「賢明な判断に感謝します」

すると坂井は飛行甲板から信号弾を発射した。これが降伏調略成功の合図であった。

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