第56話
――――日本国・竹島沖
国防海軍の保有する多数の艦艇が竹島と霧の中間に向かって航行していた。
その艦隊の中央にはヘリ空母と呼ばれた、いずも・かが・いせ・ひゅうがの4隻がいた。さらにその甲板にはヘリではなく空軍のF‐35が駐機していた。
さらにさらに、艦隊の旗艦を務めるいずもの艦橋にはあの轟海将が乗っていた。
「まさかあの後すぐにいずもに乗艦変更になるとは・・・しかも艦隊の総旗艦の指揮官になってしまうなんて・・・」
「司令、御気分でも・・・?」
「ああ、艦長。すまない大丈夫だ」
「そうですか、でも無理はなさらないでください」
「ありがとう」
轟といずもの艦長が会話をしていた時、飛行甲板から連絡が入った。
「航空隊全機、いつでも発艦できます」
その問いに答えたのは轟だった。
「待て、レーダーに敵が映るまでは発艦するな。燃料がもったいない」
こちら側の日本はいくら燃料の備蓄があっても無限にあるわけではない。高知県沖で海底油田を見つけはしたがそれでも国中に回す余裕が無いのだ。
その時、艦隊の1番外側を航行していたしらねが爆発したのだ。
「どうした!?」
「しらねが爆発しました!!」
「状況を報告せよ!!」
「しらねより報告!高空より飛来した敵機、急降下し体当たり。以上です」
「体当たりだと・・・?」
このとき轟は脳裏に浮かんだ。『神風特別攻撃隊。通称、神風』
第二次大戦末期、日本軍が行った、生還の見込みが通常よりも低い決死の攻撃、もしくは戦死を前提とする必死の攻撃を行う戦術攻撃。
ふと上空を見ると高空に多数の敵機が飛んでいるのが見えた。轟はCICに聞いた。
「CIC、艦橋!レーダーに反応は?」
「レーダーに敵、認められません!!」
「レーダーに映らない機体か・・・厄介だな。全艦、対空戦闘!敵は高高度より攻撃してくる。中には特攻機もいる模様!CIWS、主砲、撃ちーかた始め!!」
それと同時に艦隊は一斉に火を吹き、航空隊は急降下した。




