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第48話

遅くなりました

――――空母信濃・応接室

「どうぞおかけください」

部屋に入っての俺の最初の一言はそれだった。

「失礼します」と言い、外交官達は席に着いた。

「こんな海の上で申し訳ありません。霧から我が国までは結構距離があるので海上で外交という形にさせていただきました」

「いえいえ、お気になさらず。本日我々がここに参りましたのは貴国との輸出入、つまり貿易を行いたいと思いまして伺った次第です」

「ほう、貿易ですか・・・、我が国は貴国とほとんど同じ国ですから国内で作れるものは似たものばかりですよ?もしかして石油ですか?」

「物分かりが早くてありがたいです、我が国は現在、石油を欲しています。我が国の付近の海底に油田を2つ見つけましたがこれでは、もって2~3年です。ということで石油を輸入したくてお願いしに来たわけなのですが・・・、そちらで何か欲しい資材とか輸入したいものってありますか?このままでは我が国に対しての一方通行貿易になりますが?」

「無いのでいいです。ところでさっきからそこにいる顔を隠した人は何ですか?」

俺はさっきから4人目の来艦者、サングラスとマスクをした謎の人物の事が気になっていた。

「ああ、こちらは――」

轟が答えようとしたら謎の人物は喋り始めた。

「やはり、マスクとグラサンは取らないと、ダメかな?いや~しかしほんとに国を作ってるなんてな」

懐かしい聞いたことがある声だと思ったが誰かわからない。そう思っていると彼はマスクとサングラスを取ったとき、俺はまた驚きの顔をしてしまった。またまた知り合いだったからだ。しかもそれが向こうの日本から来て、俺たちと違い不死身の人間じゃないから余計だった。

「葛城・・・?葛城だよな?」

「久しぶりだな、山上。成人式以来か?まぁ、それはいいか・・・俺はこいつと二人で話がしたい、全員部屋から出て行ってもらえないだろうか?」

「俺もこいつと話がしたいすまんがみんな、部屋から出てくれ」

みんな、ぞろぞろと部屋から出て行ったが1人だけ出て行かなかった物がいた。軍人で誰よりも忠誠心が高いと思っている、山口多聞。彼だった。

「すまん。山口、お前も出てってくれないか?」

「ですが!?護衛を・・・」

「大丈夫だ。心配するな。それに俺は死なん!そうだろ?」

「・・・・・・・・はい」そういうと多聞は出て行った。

「さて、お前がここに来たのはただ俺に会いに来たわけじゃないだろ?それにお前は俺に正体を隠しているみたいだし?」

「ばれたか・・・改めて自己紹介をする。俺は今、警視庁のテロ特殊対策課というところにいる。表向きはお前らの国と貿易をすると言っているが実際はお前ら5人をテロ犯罪組織のボスとして逮捕しようと進んでいる・・・」

「なんで?そうなる?」

「お前らは死んで別の世界に行ったといったが、実はお前たち5人の死体というのは確認できていないんだ。だから実際は死亡というより行方不明扱いになっているんだ。そして俺らの日本がこっちに来てから勝手に国を作った者はテロ組織として認知するという変な法律が出来、お前たち5人がそれに含まれるようになった」

「ということは俺たちを捕まえに来ると?」

「そういうことになるな・・・」

「下手をすると警察じゃなくて自衛隊が来る場合もあるのか?」

「あるかもな・・・」

「ところでこれを俺に教えて大丈夫なのか?」

「俺はすべてを捨ててきた。そして、俺はお前の国に亡命を希望する」

その答えについて俺は少し考えたが答えはすぐに決まった。

「いいだろう、俺の後ろにいろよ。全員中に入れてくれ」

そう言うと葛城は俺の後ろに立った。そしてすぐに外に出ていた者たちが入ってきた。

「話は終わりましたか?」

「はい。轟さん、それから外交官の野田さんと高松さん。貿易の話は無かったことで」

その答えに3人は固まる。そして野田が切り出す。

「何故です?」

「あんたら日本の企みは全てこいつから聞いた。そして葛城は俺の国へ亡命を希望したので承諾した。よって我が帝国は貴国とは貿易はしない。以上で失礼します。質問は受け付けません。即刻この艦より立ち退いてください」

轟たちは一言も話さず、部屋から出て行き、ヘリで艦を旅立った。


「すまんな山上」

「いや、いいんだ。これから忙しくなりそうだ」

「俺も少しは協力するよ」

「ありがとう。頼むよ」

そんなこんなで日本帝国と日本国の貿易は完全になくなった。

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