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第39話

――――硫黄島・1500Km沖

硫黄島から霧までは9000Kmはある。

「まもなく不明艦隊の視認圏内に入ります。」

「わかった。」

そう頷いたのは、三笠艦長の川崎大佐である。元々は中佐時代に副長として三笠に乗艦していたが先代の艦長が退役したため引継ぎで艦長をやっている。

「艦長!国籍不明艦隊、確認しました。」

「そうか、どれどれ・・・」

そういうと艦橋にいた幹部達は不明艦隊に双眼鏡を向けて覗き込んだ。

「おいおい、硫黄島の奴らは何を見ていたんだ!?駆逐艦サイズ、意外といるぞ?」

「艦長、彼らは画面に移されたレーダーしか見ていないのです。おまけに硫黄島に配備されているレーダー類は本土の物と比べても旧式ばかり。間違えるのも無理はありません」

「副長、それはちょっと言い過ぎではないか?といってもこの艦隊も古いがな」

艦長と副長は笑っていた。すると艦橋外にいた見張り員が

「前方の艦隊より発光信号!!」

「解読できるか!?」

「お待ちください・・・・・・・出来ました。艦長こちらです」

渡された紙にはこう記されてあった。

『こちらは日本国海上自衛隊所属、『かが』である。貴艦隊の所属を述べよ』と書いてあった。

「カイジョウジエイタイ?副長、聞いたことあるか?」

「いえ、そんな艦隊聞いたことありません。それに艦長、あの艦隊は霧の中から現れたじゃないですか?今はほとんどの最新鋭艦隊はベルカ方面に行ってますから向こうから我が国の艦隊が来ることはあり得ませんよ?」

「そうだな・・・とりあえずこちらの所属も知らせておけ」

「了解しました、艦長」



 一方霧の中から姿を現した艦隊でも混乱は起きていた。

「霧から抜けたら早速艦隊戦か?一応、全艦隊に戦闘配置に付くよう言っておけ」

「了解」

そう命令したのは、艦隊の真ん中航行するヘリ空母『かが』に乗艦している護衛艦隊司令、轟海将であった。そして了解と返事をしたのは同艦艦長、長瀬1等海佐である。

「艦長。とりあえず、向こうに所属と艦名だけを知らせてみろ」

「司令。しかしどうやって?」

「向こうに通じるかどうかわからんが発光信号で言ってみろ」

「わかりました」

所属を知らせて10分後、向こうから返信があった。

同じく向こうも発光信号で答えてきた。

『こちらは日本帝国・帝国海軍、硫黄島基地所属、戦艦三笠である。』

「ん?戦艦三笠?どういうことだ?」

「司令、我々は日露戦争あたりの日本に来てしまったのでしょうか?」

「司令、それに艦長。」

「どうした?副長」

「俺、旧海軍好きなんでわかるんですが戦艦三笠は退役するまで硫黄島所属にはなったことありませんよ?」

「それはほんとうか!?」

轟海将と長瀬1佐はお互いの顔を見合った。すると通信員が来た。

「向こうの艦の責任者がこちらの旗艦に乗って話がしたいと言ってきてますがどうしますか?」

「承認すると言っておけ」

「司令!?」

「艦長、我々がこの異世界に飛ばされて2週間が経った。大陸は陸自さんがやってくれているが霧方面は我々海自の担当だろ?こっち側の事情を聞いておこうと思ったのだが向こうから来てくれるのなら話が早く済みそうだ」



――――30分後、三笠から短艇に乗ってきた川崎大佐ら5人は『かが』に接舷後乗り込んだ。

「三笠艦長、川崎大佐です。乗艦許可ありがとうございます」

「いえいえ。護衛艦隊司令、轟海将です。隣にいるのは艦長の長瀬1等海佐です」

「海将?海佐?」川崎達は首を傾げる。

「海将とはあなた方で言う中将です。海佐は左官です。長瀬艦長の場合1等なのでこの場合大佐です」

「中将!?これは失礼しました、轟閣下」

「閣下かぁ・・・」轟は閣下という言葉に苦笑いをした。

「では、応接室にご案内いたします」

「閣下、少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか?」

「どうしました?川崎大佐」

「もうすぐ私の上官が遅れてここにやってきます。それまで待ちたいのですが」

「わかりました。一緒にお待ちしましょう」


 5分ほどたった頃、艦隊上空に爆音が聞えてきた。そして一人の水兵が声をあげた

「ジェット機だぁ!?」

「戦闘機!?報告は何も聞いてないぞ!?」

長瀬艦長が驚き、さらに続ける

「CIC!!不明機の報告はどうした!?」

「不明機?艦長何を?レーダーには何も映っていませんが?」

「何を寝ぼけている!!今、上空を1機普通に飛んでるぞ!!」

「そんなはずは・・・」

すると、その機体は垂直で『かが』の甲板に着艦してきた。

「垂直離着陸だと!?あれは、F―35B!?」

中から降りてきた男に対して『かが』の乗組員は同じことを思った、若いな。と・・・

「川崎大佐。この艦隊の司令は誰だい?」

「はっ、こちらの轟中将です。」

川崎はあえて階級を日本帝国が使っている物を使った。すると男は

「会えて光栄です。轟海将」

「え?」

誰もが思った。彼らの階級の呼び方が同じ日本であっても違うことをそれを彼は海上自衛隊の階級で呼んだのだ。

「なぜ、我々の階級章のことを?」

「申し遅れました。日本帝国総司令兼代表の山上です。階級はありませんが一言で言えば大元帥ですね」

「大元帥!?そして国の代表!?一国の主ですか!?」

「はい、そうですね。まぁ立ち話も何ですが・・・」

「そうですね!中に案内します!!」

そういうと轟海将や長瀬1佐は慌てふためくように俺たちを中に連れて行った。

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