第15話
――――英国・セント・ジェームズ宮殿
宮殿の中は混乱していた。その中で一番慌てていたのは英国女王のアン女王である。
「女王陛下、少しは落ち着かれてはいかがですか?」
そう話しかけてきたのは、長年王室に仕えてきた執事のポールである。
「落ち着け!?ポール、この状況を落ち着けですって?無理を言わないでちょうだい!!」
「ですが一国の女王が一番慌てていては・・・」
「うるさい、黙っていてください。」
そう女王が一喝するとポールは下がっていった。
女王が慌てるのも無理ないのである、どこの輩かわからない連中が突然攻めてきてワイト島を含む南部海岸を上陸占領してしまったのだから・・・
「もう、敵はどこの国の連中かわかったの?」
「はい、敵がばら撒いたと思われる、降伏を呼びかける文章が書かれた紙切れを拾いました。こちらがそうです。」
女王専属の護衛の兵が日本がばら撒いた降伏を促すビラを女王に渡す・・・
「どれどれ・・・・・・・・何よこれ!!!!」
ビラにはこう書いてあった。
”我々は日本王国です。すみやかに降伏しなさい。貴国の戦力では我々には勝てない。降伏を受け入れた場合、貴国は我々の指示に従っていただきます。”
と、このように書いてあるがこんなものを一般人が見たら大変だと思ったので、アン女王がいる、セント・ジェームズ宮殿にだけ降伏のビラを撒いたのだ。
「すぐにバーミンガムやマンチェスターにいる部隊をロンドンに来させなさい!!」
アンはそばにいた陸軍大臣に向かって言った。
「しかしそれでは女王陛下、ほかの都市の防衛ができなくなります!」
「いいのよ!籠城戦に持ち込みなさい!日本王国なんて国聞いたことないから、どうせ遠路はるばる海を越えて来ているんだと思うから食料もすぐに尽きると思うわ!この際宮殿がある、ロンドンだけ守り通せばいいのよ!!!」
「わかりました。防衛部隊の9割をロンドンに向かわせます。」
その言葉にアンは
「待ちなさい!私は全軍といったはずよ?他の都市はこの際守らなくていいから全軍でロンドンを守りなさい!」
「わかりました・・・。」
陸軍大臣は内心、もう無理かもしれないと思いながら部屋から出て行った。




