第11話 号外、陛下誤認逮捕サレル
――――広島県呉海軍潜水艦基地
俺は門の所に立っている衛兵に声をかけずに中に入ろうとした。
「貴様!止まれ。この先は潜水艦基地である。関係者以外は立ち入り禁止だ!」
「おお、すまんすまん。」
俺は身分証と顔を見せたが・・・
「我が国の陛下がこんなところに一人で現れるわけがなかろうが!特高に突き出してやる!」
特別高等警察、通称=特高。基本的にスパイや反政府団体の逮捕、尋問という名の拷問を行っている。一般の強盗や脱人などの一般人相手は道徳警察と呼ばれる彼らが行っている。ちなみに憲兵隊は陸軍直轄、特別高等警察は警察庁直轄で、道徳警察は俺が作らせた、いわば宮内省直轄組織であるである。
そして、俺は現在そのうちの一つ特高に突き出されそうになっていた。
「ちょっと待ってくれ!?」
「言い訳は特高に言え!」
「竹下貫太郎!」俺は大声で叫んだ
「何!?」衛兵の足が止まる
「竹下貫太郎を呼んでくれ!」
竹下貫太郎海軍中将・・・呉鎮守府の司令長官である。
衛兵は素直に「わかった。」と言ったが俺は手錠をかけられ一番奥の牢獄にぶち込まれた。衛兵が言う。
「長官が先か特高が先かな?まぁ特高が先だろうな・・・フフフ・・。」
と笑いながら衛兵は去っていった。
―――30分くらいたっただろうかコツコツと歩いてくる音が聞こえる・・・
不死身で死ぬことはないが痛いのはあまり好きではない・・・
ため息をついていると・・・
「総司令・・・いや、陛下・・・」
その声に顔を上げるとそこには呉鎮守府長官の竹下貫太郎が立っていた。
「竹下中将・・・」
「やはり陛下でしたか、部屋にいたら外から私の名前が聞こえたので窓を覗いてみたら連行される人がいて、何となく顔が似ておられたので来てみれば本人でしたか・・とんだご無礼を・・」
「いや、いいんだ。こんなところまで一人で来た俺が悪いんだ・・・」
ちょっと笑いながら俺が言っていると、そこに衛兵に連れられた特高警察が来た。
「一番奥の牢屋に入ってます。」
それに気づいた竹下中将は、
「おい!衛兵!」
「はい!?・・あ、これは竹下長官!?なぜこのようなところに?」
「貴様!誰を牢屋にぶち込んだのかわかっているのか!!?」
「陛下の名を語る不届き物を・・・」
「馬鹿野郎!!!この方は正真正銘本物の山上陛下であらせられるぞ!!」
「えっ!?・・・・・・」衛兵は何故か気絶して倒れてしまった。よほどビックリしたのであろう。
なお、特高警察は竹下中将と衛兵の会話を聞いてどうすればいいのかと立ち尽くしている。それを手錠を外され牢から出てきた俺は特高に向かって、
「もう帰ればいいぞ(笑)」と笑いながら言ったら
「失礼しましたーーーー」と血相を変えて帰っていった。
「さて、陛下今日ここに来られたのは・・・」
「ちょっと待て、それは極秘だ。君の部屋で話そう。」
そう言って俺は鎮守府長官室へ向かった。
釈放されました。
次話に極秘兵器が追加されます。




