第10話
――――広島行き列車内
俺はあえて顔が見えないように帽子を被って1等客車にいた、2等客車に比べて1等客車は余裕で座れるのがいい。さすがに横須賀から広島まで立ったままの乗車はキツイ・・・
「相席いいかな?」
「どうぞ。」
「ありがとう、お兄さん軍人さんかな?」
「ハハ、そう見えますかな?残念ながら普通の一般人ですよ。」
「そうですかぁ。しかし、暑いですなぁ・・・」
「そうですねぇ」
相席をお願いしてきた男は持っていた扇子を取り出し、仰ぎながら言った。
こいつ、おかしいと俺は、すぐに気づいた。確かに暑いと思えば少し暑いが、しかしまだ7月の頭で気温もまだ、21~2℃なのだ。それで、この男・・・怪しい。その時、大きな汽笛と同時に列車は停止した。すると前の扉が開いて3人の男たちが入ってきた。左腕には憲兵の文字・・・
「憲兵のスパイ狩りかぁ・・・」
スパイ・・この世界で文明が進みすぎてる我が王国に対してスパイなんてする国があるはずがと思うがあるのである。ローマ帝国である。
史実と違いこの世界のローマ帝国、ものすごく強いのだ。ローマ領は東へ東へと延び現在は中国の隣、キルギスになるところまで領土が伸びている始末だ。そこで日本人にできるだけ近い中国人をスパイに要請し、どこで勉強したのかわからないが日本語を覚えて我が王国に入ってくるのだ。おそらくその一人であろうと思われる男が俺の前に座っている・・・
「失礼、身分証を拝見・・・。」
俺は身分証を渡す。もちろん秘書にお願いして作らせた、偽造とは全く分からない身分証である。前に座っている男も身分証を出したが、どうやら通過したようだ。そして何事もなかったように憲兵隊は客車から出て行った。続いて俺もトイレに行くと相席の男に言って憲兵隊の後を追った。
「憲兵さん。」
「何かっ!?」
俺は本当の身分証と顔を見せた。
「へ、陛下」
「馬鹿!声が大きい!」
「失礼しました・・・」
「俺の前に座っている男・・・怪しいからマークしておいてほしい、できるか?」
「全力を尽くします」
そう頼むと俺は、元の席に戻って広島に向かった。
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