プロローグ
あの日は本当についてなかった。
朝は寝坊し、自転車のタイヤはパンクしていた。
仕方なく走っていれば横断歩道にすべて引っ掛かり、水撒きしていたおじいさんには水をかけられた。
学校に着けば土を運んでいる最中の緑化委員が一輪車ごと転び、運んでいた土が命中。授業は毎時間当てられ、数学の課題にいたっては一人だけ違うプリントを配られていたらしくやり直しを命じられた。
確かについてなっかた。
だからって、これはないでしょう?
「……っ」
先生に用事を頼まれ、遅くなった下校時間。
だいぶ暗くなっていたから明るい道を選んで帰っていたのに――。
通り魔に会うとかないでしょ。
あーあ。本当マジでついてない。
まだ読んでない漫画とか見てないアニメとかあったのに――。
お母さんは――、泣くだろうな。一人娘だし、女手一つで育ててきたもん。……後は追わないよね?
あー、でも。私まだ10代なんだよね。彼氏とかできたことないし、告白もしたことなかった。結局大学生になっても未だに処女のまんまだし。
一回ぐらい、告白したりされたりしてみたかった。
それももう、できない。
「くそったれが」
雪が降りそうなほど寒い夜道で人知れず死ぬとか、マジで笑えない。
閻魔様とかいたら化けて出られるようにお願いしてみよっかなぁ。
あー、意識が薄くなってく。
最後までくだらない人生だった。
次は、――――。