随筆/「読点は、二つのツボを押さえろ!」 ノート20140412
読点は、二つのツボを押さえろ!
地文は重要だという声をよくききます。ホラーなんかは、すかすかな内容でOKなれども、落語のような綺麗なオチはあえてせず、理不尽な結末を準備すること、そしてなにより、地文を綺麗にせよという、京極夏彦ほか『怪談の学校』(メディアファクトリー・ダヴィンチ編集部2006年)で書かれてありました。
その地文についての入門書で、定評のある書籍が、本田勝一『わかりやすい文書のために』(すずさわ書店1981年)です。
同書の85-141頁に、句読点のうちの「読点」について述べた「テンの打ち方」という節があります。著者は先達の弁を整理して、二つの法則に集約しました。第一が、「長い修飾語が二つあるとき、その境眼にテンをうつ」こと。「第二が、語順が逆さになっている場合にテンを打つ――(逆順の法則)」こと。
第一の法則の文例は、「Aが、Bを、Cに紹介した」という場合は、「何も事情を知らない軽薄きわまるAが、思っただけでもふるえほど私の大嫌いなBを、私の小学校から高校を通じて親友のCに紹介した。」となります。
第二の法則の文例は、「Cに、何も事情を知らない軽薄きわまるAが私の大嫌いなBを紹介した。」となります。
さて、戦前の美文は文章の神様といわれた谷崎潤一郎に代表されるここにでてくるような長文様式が主流でしたが、戦後の太宰治あたりから短文様式がでてきて、現在は後者が主流。しかし、昨今、一部のラノベで長文様式が復活し、びっしりと詰まった文章なのにも関わらず、若いの顧客層をつかまえているのを目にしたとこがあり驚かされました。
長文様式の場合の秘訣はこれ。けっこうツボです。
●奄美剣星 (自作小説倶楽部2014年4月小題稿了宣言用掲示板より)