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もう一度妻をおとすレシピ 第4冊  作者: 奄美剣星
Ⅴ 催物・紀行
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催物/宝塚『激情』歌劇観劇の件(2016年4月) ノート20160601

催物/宝塚歌劇観劇の件(2016年4月) ノート20160601



 会場入り口は賑やかなもので、「りょうさまLOVE」とか「れいか様だいすき♡」とかプラカードをもったお嬢さんたちがけっこういた。お小遣いできたのかそういう感じの子は2階ベランダ席入口に群れていた。劇場内のカフェで飲み物を買い、入り口で紙コップのアイスコーヒーを飲んでいた私と家内は、係員が開場を報せると、15分かそこら長蛇の列の末に並んで、2階受付を抜け、上にむかうエレベータに乗った……。

 フリーランスでしていた新潟県での職務契約が3月末日で満了したので4月初旬、福島県いわき市に帰宅した。ちょうど桜が見ごろとなっていたころで、自家用車できた私と家内は新川沿いにある市役所の駐車場に車を置いて、桜並木の土手を少し歩いた。川原に沿って遊歩道があって、中洲には菜の花が群生し、ときおりふわりと春風に舞い上がった蝶や蜜蜂が横を通り抜けて行った。市役所の道路を挟んだ横にはバブル期あたりにつくられた大きな劇場・いわき芸術文化交流館アリオスがある。そこの第ホールで宝塚歌劇・月組の公演があったので観劇した。

 演目は2部に分かれ、第1部が、フランス人作家プロスペル・メリメ原作『カルメン』から『激情―ホセとカルメン―』、第2部は『Apasionado アパショナード!!Ⅲ』。公演は、2016年4月6日(水)14時および18時の2回、3時間ずつ、催された。大ホールは1階から4階まであり、2階以上はコの字形をしたバルコニー構造となっている。舞台直下がS席、奥がA席だ。値段はS席7300円、A席6000円、2階5700円、3階4500円、4階3000円。――私と家内は14時、けっこう早くに予約したが残念ながらS席はとれず3階席で、舞台からみるとコの字になったバルコニーの左翼中ほど。

 脚本が柴田侑宏、演出・振付が謝珠栄。1999年が宙組、2010年が星組、2016年が月組によって演じられた。今回の月組公演では、竜騎兵から密輸組織首領となるドン・ホセ役に珠城りょう、運命の女カルメン役に愛希れいか、語り手メリメおよび密輸組織首領ガルシア役に凪七瑠海、闘牛士エスカミリオ役に暁千星。ホセの婚約者ミカエラ役に早乙女わかば。

 ――Youtube動画はホームでの公演らしく大変大仕掛けで動員数も盛大だが、地方巡業のため選抜メンバーということで少し規模は減じている。……とはいうものの、華麗でまこと楽しめたということに変わりがない。

 チケットを受けとりに家内が窓口にいったとき、受付嬢から、「お席からは右半分くらい舞台がみえなくなるかもしれませんよ」といわれたが、それは本当だった。しかし腐っても鯛、遠目に、半欠け状態で観る席でも天下の宝塚。

 ――舞台劇はテレビやビデオ仕様ではないためそこで視ると面白くない。ライブな場の空気というものを楽しむ。祭りだ。

 第1部『激情』はオーソドックスな『カルメン』を少しいじっていて、語り手のフランス人考古学者がずばり原作者プロスペル・メリメになっているとか、定番であるカルメンが煙草女工時代に「ハバネラ」を歌って男たちを誘惑するのだけれどもホセだけが誘惑されないので身に着けていた紅い花を投げて気を引く有名な場面がないとかの改変がある。

 さて内容は述者1820年ごろフランス人考古学者が、スペイン旅行中に、同王国竜騎兵の青年ホセと出会い、セビリヤの町をうろつくジプシーの踊り子カルメンに魅せられ翻弄され、密輸組織の構成員に身を落とし、上司の将校や密輸組織首領ガルシアほか幾多もの殺人を犯して処刑場の露と消える、その顛末を語るというもの。

 ――傍から見ているとどうみても、カルメンは軽薄・アバズレ女で魅力的じゃない。いったいどうやったら恋に狂うのか不思議だ。フェロモンのなせる業なのだろうが一介の観客としては不思議きわまりない。むしろ婚約者のミカエラのほうが、馬鹿をやっているホセに代わって、病身である彼の母の看病をしたり、ホセ自身を改心させようと何度もセビリヤにやってくるなどしたりして天使みたいだ。

 第2部『Apasionado アパショナード!!Ⅲ』は小説でいえば掌編群とでもいうべきもので、複数の寸劇の間にさまざまなダンスが入る。1930年代あたりの銀幕俳優と女優の愛憎劇、スペイン内戦をイメージしたかのような亡命しようとする恋人が射殺される悲劇、仮面舞踏会風、リオのカーニバル風、ラインダンスも入る。カーニバル風ダンスが入るときは、団員たちは1階S席縦通路2条に乱入するかのように観客たちと握手を交えて駆けだし、花火のように盛り上げる。

 ――他方、3階バルコニーでは、舞台側に座っていた大柄なオバチャンが身を乗り出してただでさえみづらいところにきて半面以上視界を塞ぎ、連動して家内が左に身体をよじった。このため、私も身体をよじろうとしたが、左隣に小柄な婆ちゃまが座っていらしたので、現状でみえる範囲で我慢した。このセイウチめ。ぶぎゃ(ノート20160601)。

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