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もう一度妻をおとすレシピ 第4冊  作者: 奄美剣星
Ⅰ 随筆
8/100

随筆/W.C.「ウオーター・クリケット?」みたいな ノート20140227

 だいぶ昔の冬場、私は、イタリアにでかけようとしていました。シーズン・オフの格安チケットを購入。簡単なイタリア語会話本なんかも買い、ついでに付け焼刃のイタリア語よりは少しましな英会話本も買いました。その英会話本のなかに、こんなくだりがありました。

 ――外国では、「トイレ」といっても通じません、もし、「トイレはどこでしょうか?」と誰かにきく場合は、「ウオーター・クリケット」といわねば通じないのです。

 私は、左手のひらに、右拳をトンと落とし、

「トイレといわずに、白磁の便器のなかを、清水がクリケット・ボールのようにコロコロ転がって白濁をつくってゆく……。上流階級の球技をもってきて、そう例えたか! ……なんてエレガントなんだ。さしずめ、日本でいうならば、白磁の便器を雪のようなカバーに例える『雪隠』といういいまわしみたいなもの。さすがは、キングス・イングシッシュじゃわい」

 と合点したわけであります。

 ツアーだったもので、ゆきも帰りも添乗員がいて、快適な旅行です。

 イタリアのクリスマス期間というと、主要施設は多くが休暇に入ってしまい、案外と利用できないもの。それでも、コロッセアムを間近にみたり、地下鉄工事に伴うと思われるローマ時代あたりの大理石建造物の発掘作業がみられてそれなりに楽しめました。

 どこの町の公衆トイレにも、肥った小母様がいて、覚えたてのイタリア語で挨拶すると大はしゃぎしてくれました。彼女たちのおかげで悪臭というものを感じたことがありません。

 さて問題は帰りであります。

 ローマ発-成田ゆきの飛行機は、シンガポールで燃料を補給。このとき、他のツアー客たちは、空港売店でショッピングを楽しんだりしていたわけです。

 シンガポールといえば公用語は英語。トイレを捜していた私は、青い制服を身にまとったノッポな空港係員の青年をみつけて、

“Where is a water cricketer?”

 と、決めてみます。

 ――どうです、エレガントでしょ。

 しかし、制服係員さんは、顔をしかめて、それでも、解決の糸口をつかもうと、もう一度いってよ、とゼスチャーします。

“Where is a water cricketer?” 

 けれども、結果は同じ。

 私は一瞬考え込みました。

――ここは、恥も外聞も捨てるべきではなかろうか。

 それで、

「といれ~っ!」

 と切り札をだしたわけであります。

“Oh!”

 苦渋の表情をしていた係員さんは、暗雲漂う天空に一条の光が差し込んできたかがごとく、微笑んで私を、「トイレ」にいざなってくれたのでありました。なんていい奴!

 この記事を書くのにあたって、W.C.とはなにかと、ネット検索をかけてみました。すると、私が「ウォーター・クリケット」だと思い込んでいた語彙は、なんと、“a water closet”「ウオーター・クローゼット」・水の押入れの略だったのでありました(勘違い!)

 ちなみに、トイレに関するその他のいいまわしは以下の通り。


a lavatory, a toilet,((米俗)) a john,((英俗)) a loo; 〔個人の家庭で〕a bathroom; 〔公共の建物で〕((米)) a rest room, a washroom, the facilities, a comfort station (▼the facilitiesとa comfort stationは婉曲的な言い方); 〔男性用〕the men's room, (標示) Gentlemen, Men; 〔女性用〕the ladies' room, a powder room, (標示) Ladies, Women; 〔主として軍隊で〕a latrine [ltrín]; 〔公衆便所〕a public lavatory [toilet]/( goo辞書・和英「トイレ(ット)」より)


   (おあとがよろしいようで)

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