資料/妖精分類・試案012 心霊系妖精と魔女 ノート20160716
妖精分類・試案012 心霊系妖精と魔女 ノート20160716
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その1 聖霊・地霊
コンウォールCORRIGANSは、古代ガリアのドルイド聖人の末裔女性で、立石周辺にある泉の番人だ。春になると推奨のゴブレットで詩と英知の秘密を飲み乾す。――※私見:巨石記念物近くの水場を守護する。
WHITE LADY「白婦人」は幽霊、妖精ともいわれる。この幻影のような幽霊は世界中で地霊として知られ、泉や井戸、河川、橋の番人である。アーサー王伝説に登場する王妃グィネヴィア(Guinebere)と同義でもとの形であるGwenhwyvarは白い幽霊を意味する。アイルランドの白い幽霊「バン・イン(Bean fion)」はホワイト・レディーと同じ意味。
アイルランドBEAN-FIONNは湖や小川、河川などに棲む「白婦人」だとされ、好んで子供を小川に引きずり込んで溺死させる、イングランドでは緑の牙のジェニーと呼ばれている。――※私見:アイルランド版「白婦人」バン・インは水辺で子供を溺死に誘うあたりが半魚人・マーピープルの一種にもみえる。
マン島のNIKKISENは水の妖精で、ニッキセンの湖に棲み、満月の光のもとで人間を水へと誘い、溺死者の魂を冥界へいざなう。――※私見:「白婦人」の一類型であろう。
スコットランド。イングランドWHITE DOBBIEは、魂を失った、弱った人間のような姿で、白い汚れた外套を羽織っている。赤い目をギラギラと光らせた白い兎をいつも連れている。――※私見:兎愛好家が散歩していただけかもしれない。
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その2 亡霊系
ここでいう亡霊系とはいわゆる幽霊である。亡霊系を次のA~Eに分類してみた。
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A地縛霊的妖精。
サマセットRED SHANKSは、赤ら顔でパイプをくゆらせている妖精でサマセットのドルベリー・キャンプの傍で殺されたデーンの魂とのこと。
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B浮遊霊的妖精。
イングランドWOMAN OF THE MIST。霧の女、道端で小枝を拾っている老女の姿。サマセットの伝承物語ではハグという妖精が正体。
アイルランドSLUAG(スルーアは邪悪な亡者の群れ、あるいは呪われた者たちの魂で、黒い雲に乗って西からやってきて呪われた場所に出没する。
スコットランドのTARANSタランは、イングランドのスパンキーと同じく、浮遊霊化した子供の魂で遭遇すると命を落としかねない。聖水をかけたり、洗礼の祈りの言葉をかけてやったりして浄霊するとよい。
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C騒霊的妖精。
イングランドKNOCKY-BOHは、騒霊「ポルターガイスト」でボガードともいい、家の壁や木製パネルの裏側で、どんどん物を叩いたり、ガタガタ音を立てたりする。
イングランド、スコットランドのFECHは、自分とうり二つの亡霊・分魂病的な生霊で、これにでくわすのは死の前兆だとされる。
イングランド、スコットランドのDUNTERSは、境界の妖精でバウリーともいい、ビールタワーと呼ばれる古い塔に出没する。生贄として、その礎に地をまかれた犠牲者の魂とされる。亜麻を打つ音、大麦を粉にひく音といった不快なラップ音をたて、うめき声、むせび泣き声をだす。聞いた者は死や不幸の前兆だ。
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D虫の報せをする妖精。
アイルランドBEAN-SIDHE(バンシ―)は、妖精丘の女、平和の女を意味する。スコットランドではコインターハ、コンウォールではカイライス、ウェールズではグラッハ・ア・フリビンと称される、人間と同じぐらいの大きさで、白い衣ときに灰色、緑、赤、黒)、頭巾を被り、そこからまっすぐな長い髪を垂らしている。金髪を銀の櫛でとかす者、幽霊のような姿をした者もいる。叫び声はけたたましく、恐ろしげになく。死の前兆とされる。――※私見:告死天使。虫の報せ。
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E家つき妖精
ウェールズ、イングランドLOBは、家つき妖精で、悪意・口論好き、小さな黒い雲のようにみえる。トラブルを起こし人間の不幸を喜ぶ。ただ怠け者なのでそうそうは支障にならない。炉辺のロブ、ロブ・ライ・バード・フィード、ラバー・フェンドとも呼ぶ。――※私見:浮遊霊のようなものか。
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【魔女系】
WITCHは魔女を意味し、ときに妖精ともハグとも呼ばれる。魔法の力やハーブや薬についての神秘的な知識をもつ。呪文を唱えればほうきやサワギクの茎にまたがって空を飛ぶ。糸車の傍に座って善い呪文、悪い呪文を唱えている。男を惑わすために変身し魔法をかけて彼らを連れだす。異称として、若芽を意味し音楽好きで悪戯好きな小悪魔・IMPがある。
またスコットランドの異称では、魔女・女性妖精を意味し魔法の杖で人間を、特に子供を動物に変えるのが大好きな、EACHRAISE URLAIRというのがある。
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引用・参考文献
ポール・ジョンソン 著 『リトル・ピープル』 藤田優里子 訳 創元社2010年




