資料/妖精分類・試案010 ホビット ノート20160715
妖精分類・試案010 ホビット ノート20160715
亜人その4 ホビット
人類の進化の過程で百万年前あたりの者を原人というが、昨今、インドネシアの火山島洞窟で、縄文時代草創期あたりに相当する1万数千年前のものの骨が発見され「HOBBIT」と名付けられた。また、『指輪物語』のなかでのホビット族は亜人や妖精ではなく小型の人間支族だとされている。テキストの『リトル・ピープル』を以下の3タイプに分類してみた。
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第1にエルフ系亜人として。
アーサー王伝説TOM THUMB・親指トムは、子供のない夫婦が魔道士マーリンの元を訪ねると、夫人は懐妊していて出産するが、生まれた子は大きくなれないと預言。生まれると4分弱で大人になる。妖精女王がお産に立会い名付け親となる。女王は少年に魔法を授ける。ヒキガエルに飲まれたが救出され、アーサー王宮廷に長く仕えた。――※私見:日本の一寸法師は鬼に飲まれたところを針の刀で刺しまくり自力で脱出。鬼が落した打出の小槌をつかって長身化し主筋の姫を嫁にして公卿にまで出世する。縁辺部に保管された大陸伝説といえる。
スコットランドLY ERGは兵士の格好をした小さな妖精で、進軍歩みを止めて血まみれの右手を挙げ挑発してきたら逃げ出すほかない。戦おうものなら2週間以内に死んでしまう。――※私見:さしあたりここに分類。
ウェールズのPLANT RHYS DWFENは、リス・サディープの一族で、正直で親切な小さくて愛らしい妖精だ。魔法のハーブのせいで目には見えない、リス・ドヴェンが治める国に棲んでいる。半分は人間の血が入っていて、とても正直で優しい。相場で儲けて豊かに暮らしている。――※私見:さしあたりここに分類。
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第2に自然精霊として。
イングランドPORTUNESは最も古い妖精で3センチにも満たないほどの小さな皺だらけの男の妖精。つぎはぎをした外套を着ている。レブラホーンのように悪戯が好きで宝物を守護し、もし捕まえられたら願い事をかなえてくれる。――※私見:さしあたりここに分類。
コンウォール、ウェールズELLYLLONSエサソンは羽のない妖精・エルフ系だがなおも小さい。ドスマリー・プールほか谷間・渓谷・内陸の湖に棲む。卵の殻に乗り、薬草のキツネノテブクロで造った手袋をはめている。妖精バターや毒キノコのような妖精を食する。アーサー王伝説に登場する「湖の貴婦人」の領地を守る。
マン島のGUILLYN VEGGEYは妖精を指すマン島の言葉で、小さな少年。
スコットランドGLAISTIGは、小さな女の妖精で、長くて黄色い髪を垂らし、緑衣を羽織っている。遠目に見ると若くて美しいようだが、近くに寄ると、青ざめて灰色がかっている顔だ。パンジーのようにむせび泣いて死や病を嘆く。
アイルランドのBEAN-TIGHEは家の仕事をしてくれる家つき妖精。とくにケルト人の祖とされるミレシア人の子孫を好む農夫のような姿をした小柄な老人だ。とても親切で暖炉に棲む。友好的な家を好み、子供やペットの世話をしたり、忙しくて疲れきった主婦がやり残した家事を片付けてくれたりする。特に好物である苺やクリームを供えてくれた人のところへ行く。――※私見:さしあたりここに分類。
ランカシャーのFEEORINは赤帽子の緑色妖精で人間を助ける。音楽・ダンスを愛する。――※私見:さしあたりホビットに分類する。
コンウォールPYRENEESは、目には見えないが(巨石記念物)立石の間に棲んでいて、石を舞い踊らせ歩行までさせる。
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第3に亡霊として。
コンウォールのSPRIGGANSは、皺だらけの顔をした小さな妖精で夜行性だ。赤帽子に緑服姿をしている。人間または巨人の幽霊。巨人のように身体を膨らませてつむじ風を起こし作物を枯らす。人間の赤子をさらって取換子にする。矢や槍、投石器で宝物を守護する。塩水に弱い。
アイルランドTUATHA DE DANANNはギリシャ系先住民霊が妖精化したもので、魔法の力で大きな物体を運ぶことができ数々の巨石記念物を造った。ミレシア人に敗れ、妖精の丘や湖の底へ追いやられた。小さくなって人間のめには見えない。チェスやハーティング(アイルランドのスポーツでホッケーに似ている)を楽しむ。彼らがストーンサークルを造ったとされる。
イングランド南西部・コンウォールPOBEL VEAN(ポ-ベル・ヴィーン)は、小人族妖精。女の妖精は金髪。美しいレースに飾られたクリノリンほかの衣装を身に纏い、宝石やとんがり帽子を身に着けている。男の妖精は浅黒い肌、青色か緑色の服を着ている。そして銀の鈴をつるしている。みな茶色の瞳をもち若々しい。天国に行けなくて地上にとどまった人間の魂でどんどん縮んでゆきやがて消滅する。彼らの姿は頭に四つ葉のクローバーをつけた人間しか見ることはできない。
リンカンシャー、イースト・アングリアのHYTERS/HYTER SPRITES(ハイター/ハイター・スプライト)は、小さな、緑の瞳を持つ妖精で、変身能力があり、ショウドウツバメ、ノスリ、ハゲワシあといった鳥になる。人間の子供が大好きで迷子を家まで届けてくれる。ときどき集団で騒いだり人間を襲ったりすることもある。特に育児放棄系の親を襲うが傷つけはしない。――※私見:スプライトとくると狐火系かもしれないが、基本が人型なのでホビットに分類した。
コンウォールMURYANSは蟻のことで、古代の異教徒の魂。あるいはドルイド僧の魂、天国と地獄の間で立ち往生して蟻の大きさに縮んだ者たちで、変身をくりかえすごとに身長を失ってゆきやがて消えてゆく。
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引用・参考文献
ポール・ジョンソン 著 『リトル・ピープル』 藤田優里子 訳 創元社2010年




