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もう一度妻をおとすレシピ 第4冊  作者: 奄美剣星
Ⅳ 資料
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資料/妖精分類・試案007 ドワーフ ノート20170715

妖精分類・試案007 ドワーフ ノート20170715



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 亜人その2 ドワーフ

 ドワーフは、いまとなってはよいイメージだが、かつてのイングランドではDWEORGドゥオルグと呼ばれ、古期英語の悪魔をさし、アングロ・サクソンはドワーフが起こすものだと信じた。他方で古語英語のハーブにオルグ・ドウォストル(ベニー・ロイヤル)があり頭痛を治すものともされた。

 ――昨今、良いイメージになったのは、ドルイド教の浸透や『指輪物語』ほか各種の物語に登場したからだろうか。現在は『指輪物語』でだいぶ整理されてきたので、亜人たちの役割分担イメージも固定化してきた。エルフは森の種族、ドワーフは腕力があるわりに職人肌の地下種族、ゴブリンは悪の種族、ホビットは愛嬌もの冒険者・道化・盗賊。また『ピーターパン』の影響で、ピグシーは世話好きな有翼の美少女という具合。ドワーフは古い時期は他の種族の属性がかなり入っていて混沌としている。他の種族の美点がかなり混ざったようだ。

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 1つめは、木と茂みを守護する妖精としてのドワーフ。

イングランドのOAKEMENオークマンは木の妖精で森のドワーフというのがいて鼻が紅く赤い毒キノコの帽子を被る。聖なるカシノキ、森、そこの住人の守護者。柏の木を切り倒したり動物を狩ったりする侵入者に腹を立てて、魔法で御馳走にした毒キノコを食べさせてしまう。

 イングランドのCHURN MILK PEG/MELCH DICK(チャーンミルク・ペグ、メルシュ・ディック)のうち、ペグは女の妖精、ディックは男の妖精で小型ドワーフだ。農民の格好をしていてナッツやフルーツのなる茂みや木々を守っている。それを盗もうとする人々は不快な症状に悩まされる。アコーン・レディ、メルシュ・ディックともいう。

スコットランドのGHILLIE DHUギリー・ドゥーは、単独で現れる木の精、人間から木を守る、黒髪で緑の刃や苔を身に着け、周囲に溶け込んでいる。物陰に隠れて通りかかった人間に手を伸ばし捕まえて永遠に奴隷とする、森では道に迷った子供を無事に家まで届けてくれることもある。――※私見:エルフ・ドワーフ系か。

 アイルランドのLEANAN SIDHEリャナンティシーは、月の妖精でブラックソーンの茂みを守っている。髪の長い年老いた男で、尖った耳に長い槍、そして長い腕に長い指をしている。月光の元でダンスを踊ることを愛する。ケルトの祭日サウィン(万節の起源、11月1日)や、ベルテーン祭り(炬燵の祭の起源、5月1日)にうっかり藪を切り払おうものなら、その人は罰を受ける。――※私見:テキストの『リトル・ピープル』に種族記載はないが、さしあたりここに分類しておく。

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 2つめは街道・パワースポットの守護者としてのドワーフ。

 スコットランドのFRIDEANフリデンは岩の下に棲む妖精で道を守る。パンや牛乳などを供えれば安全な旅を約束してくれる。――※私見:日本でいえば道祖神だ。街道守護者にホビットがけっこういるが、ここでは義理堅さをもってドワーフとする。

 同じくスコットランドWAG BY THE WAYワグ・バイ・ザ・ウェイ。街道のワグ。スコットランドの貴族のために未知を守る妖精。※私見:さしあたりここに分類。――※私見:テキストの『リトル・ピープル』に種族記載はないが、さしあたりここに分類しておく。

 アイルランドのFIN BOLGフィン・ボルグは沼地に棲む者たちで、トゥア・サ・デ・ダナーンに敗北するまではアイルランドを支配していた。アイルランドにおける最初の妖精族。巨人族説・1メートル説がある。1mが普通。古い土塁やラースというアイルランドの土砦に棲む。鉄やキリスト教のシンボルとくに聖水を嫌う。――※私見:先住民亡霊のようでもあるが、サイズ的にドワーフとした。

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 3つめは地下世界の住人イメージとしてのドワーフ。

 デヴォン、コンウォールのKNOCKERSノッカーは友好的な鉱山の精霊だ。ユダヤ人幽霊ともいわれている。全身が骨と皮ばかりで口が大きく不細工で小さい。小さな槌を手に持ち革のエプロンを垂らした鉱夫の格好だ。鉱山や洞窟に棲む。供物はパスパーテイーだと喜ぶ、ノック音で錫鉱脈の存在、落盤などの危険を教える。閉じ込められた鉱夫を助ける。ブッカ、ニッカ―、スプリガンの異称がある。ウェールズ地方のコブラナイや、スコットランドのブラックドワーフと同義だ。

 スコットランド高地PECHペッホはピクトともいい地下に棲む妖精で赤い髪に長い腕と大きな脚をもつ、逆立ちをすると雨を避けることができる。彼らは一晩でスコットランドの古い白や協会を建てた。――※私見:『リトル・ピープル』に種族記載はなかったが特性からドワーフとした。

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 4つめは妖精王を戴く義理堅い臣民としてのドワーフ。

 アイルランドLEPRE CHAUN(レプラホーンは、小さな男のドワーフで、三角帽子を被り、緑色の服に銀ボタンのベスト、革のエプロン、青い靴下を着け、銀のバックルをつけた靴をはいている。

 同じくアイルランドのDINNSHENCHASディンシェンハスは変身能力があるドワーフで、アイルランドの妖精女王アーネに仕える。家畜の牛を守っており、強姦・侮辱された女性にかわって犯罪者の男を罰する。

 やはり4つめのアイルランド氏族が種族全体の男前のイメージを決定づけたと思う。

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 5つめは家つき妖精としてのドワーフ。

 アイルランドCLURICHAUNクルーラホーンは、ドワーフのレブラホーンとは近い親戚。単独でも現れる。赤い帽子をかぶり、いつも陽気に酔っ払っている。酒を供えとけば、盗人からワインセラーを守ってくれ、あらゆる不運を寄せ付けない。大事にしないと、あたりを滅茶苦茶にする。



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引用・参考文献

ポール・ジョンソン 著 『リトル・ピープル』 藤田優里子 訳 創元社2010年

ノート20150715

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