資料/妖精分類・試案006 エルフ ノート20160715
妖精分類・試案006 エルフ ノート20160715
【亜人系妖精】
亜人的な妖精群には大きく分けて、無翼系と有翼系とがある。無翼系はエルフ、ドワーフ、ホビット、ゴブリンで構成され大半を占めている。有翼系はピグシーのみである。テキストの『リトル・ピープル』を読んでいて随所でみかける文に最初は人の丈だが、通力をつかっているうちに、だんだん小さくなって、最後には消えてしまう精霊の変態のようにも思える。すると、エルフ→ドワーフ→ゴブリン→ホビット・ピグシーとなって消滅するのだろうか。……ではエルフから順に述べてゆくとしよう。
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亜人その1 エルフ
エルフ型妖精は世界中におり中国語では仙人・仙女が相当する。彼の地では漠然とフェアリー(fairy)と訳すのだが、厳密にいえばエルフタイプである。英国のELVESはリトル・ピープル同様、フェアリーを湾曲にした言葉で妖精の総称であったものだが、狭義的には、亜人タイプの妖精に転じてきている。
英国にはスコットランド型とイングランド型とがある。スコットランド型は人間ほどの身長で妖精国ELFAMからやってきて人間をさらったり家畜の牛を殺したりすることもある。対してイングランド型は背の小さい肥った妖精で、人間に友好的だ。緑・白服を好む。妖精の王・女王の配下にて地中に群れをなして棲む。あるいは少年の小妖精や悪戯好きの木の精を示す場合もある。
スコットランドのNIMBLE MENは、「機敏な者たち」の意味で北極光やウィル・オ・ザ・ウィスプと関係があり、月光に躍るエルフともいう。
エリザベス朝までエルフを指す語は、欧州大陸的で、頭が弱く山に棲む妖精ニンフOUPHEで、ときどき取替子をするため、頭の悪い子はウーフの取替子と湾曲に言い回した。この場合は亜人エルフというよりも妖精総称でフェアリーと同義だろう。
リンカン・シャーでは緑色の肌あるいは緑色の衣服を着た人というので、「緑の人」GREENCOATIESとも、「ランカシャー」とも呼ばれる。――※私見:エルフ系。ファンタジー小説『ゲート』にでてくる自衛隊は異世界において原住民に「緑の人」と呼ばれている。
イングランドの緑の婦人GREEN LADIESは、樫野の木、イチイの木、林檎、柳、セイヨウヒイラギに棲む木の妖精で、これらの木を切った人間に仕返しする。しかし根元にプリムローズを飢えてやると、お礼として祝福を与え、反映をもたしてくれる、スコットランドやウェールズでは、緑の妖精や、ときには幽霊の総称として使われている。ドリュアスとも呼ばれる。
これに類するELDER MOTHERはセイヨウニワトコノの木の番人で実を摘むときは彼女の許しを得る。勝手に切倒すと彼女は報復に家畜を病にしてしまう。エルダー・マザーと同じ属性であるマン島のFEATHAGもニワトコの木に棲み、どこかでそれが切倒されると皆で嘆く。
――※私見:エルダーの木の小母さんというところか。エルフ系とみる。エルダーは夏の終わりに黒い実をつけるベリーに似た水辺の果樹だ。
緑の男GREEN MANは、緑色の自然の精、森のエルフだ。顔面は樹木の枝葉で覆うか、緑色の服を着ているイメージ。自然のへの冒涜に腹を立てると死に至らしめる。エルフの太矢、石英の矢を得物とする。イングランドでは、ホプ、パック、HODEKINS、フドキン、ロビン、ロビン・グッドフェロー、またはROBIN FOODの異称がある。富める者から盗み貧しきものを助ける。『指輪物語』にでてくるトレントに近い。
――※私見:ノルマン朝の支配者層に抵抗した被支配層アングロ・サクソン人の英雄伝説ロビン・フッドの名もここからとっているらしい。義賊妖精!
他方、アイルランドのエルフIRISH ELVESはウィー・フォークの異称がある。翼を持たない妖精の総称で、病気の動物を癒しつつも、人間を避け、無垢な人間には褒美を与える特性がある。そのうち、SHEOGUSEは、シェオクイズの異称をもち、ラース(アイルランド古代の砦)やサンザシの茂みに棲むみ、人間を沼地へ誘い込む、美麗な音楽を奏で音楽家・詩人に閃きを与えるなど友好的な半面、取替子をする。妖精の子は1年の寿命だという。
ウェールズのTWLWYTH TEGは白い衣を着た金髪の妖精で、地下、あるいは水中にある魔法の庭園に棲む。そこから何かをとろうとしても消えてしまう。彼らを支配するのはグイディオン王とグェンヒドゥ女王。彼らは星に棲み、夜になると現れる。暖炉に暖かい日をくべえ歓迎してくれる家に贈り物をすることがある。お金を妖精コインと交換しそれを使おうとすると消えてしまう。
エルフ界のカザノヴァGANCANGHは魅了系モンスターのところで先述したのでここでは割愛する。
さて、ここで水棲エルフの可能性をもつ存在を挙げてみたい。
先述したように。水の妖精WATER FAERYは水のニンフともいいマーピープルと同義である。セイレーンやローレライの類で、若い男性を水辺に引きずり込んで魂を奪う。しかしここに挙げる者たちは、亜神ないしはエルフであると考えられる。イングランドのYARTHKINはアーストキンといい、イースト・アングリアの大地と水の妖精だ。
アーサー王伝説のMORGAN LE FAY。アバロンのしなやかで美しく力の強い水の妖精。どんな動物や鳥にも姿を変えることができる。今にも息絶えそうなアーサー王を船でアバロンに連れ帰った。
スコットランド、コンウォール、ウェールズのFIN FORLKはフィンの民の意で、人の形をした妖精で害は与えないが人を避ける。スコットランドの湖の底へ導かれた少数の選ばれた者たちだ。彼らの王国フィンフォーカヒームを建てた。草で覆われた理想郷で、その花、青々とした草木が育てられている。海の庭師レディス・オラウンの異称がある。
先述したスコットランド、オークニー諸島SELKIESは海のエルフとするところだろう。
スコットランドの水の妖精WATER WRAITHはしかめっ面の女で泥酔して帰った男がみる。――※私見:それは奥方だろ!
スコットランドASHRAYSは、青白い顔をしているが長命で若くみえる。水の中に棲みかとし太陽光線を浴びると水泡化する。
ではつぎにドワーフに移りたい。
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引用・参考文献
ポール・ジョンソン 著 『リトル・ピープル』 藤田優里子 訳 創元社2010年
ノート20150715




