資料/妖精分類・試案005 狐火とグレムリン ノート20160715
妖精分類・試案005 狐火とグレムリン ノート20160715
その11 狐火系妖精
日本でいうところの火の玉、人魂、狐火・鬼火・不知火と様々な呼び名があるオーブで死や不運の前兆とされる。言い回しの中に狐火というのがあり、これは日本と共通するところなので、狐火系妖精で括ろうと思う。
WILL O’ THE WISPは、沼地・湿地に棲息する。異称としては、小さな魂のウィリアム「ウィリアム・オ・ザ・リトル・フレイアム」、狐火あるいは修道士のランタンを表すFOX FIRE/FRIAR’S LANTERN、FRIR’S LANTAN。
アイルランドではWATER-SHEERIE、イングランドではELF FIREないしELF LIGHT、JACK-A-LANTERNあるいはジャッキー・ランターン。――ハロウィンの南瓜お化けのモデル。
スコットランドやイングランドのSPUNKIESは、夏至の日の前夜は亡くなったばかりの人に会うためよく教会に出没する。――※私見:新盆の怪奇現象みたいな。
サマセットとデヴォンの州境に出没するHINKY-PUNKは、コンウォールのハンキー・バンクと同じで、実は一本足で明りをもち、沼地へ導くともいう。
ウェールズのPWCAは、パックと類似し、頭は鳥、全身はおたまじゃくしの家つき妖精で悪戯もの。
FA(Aの頭に「:」を横にした記号)EU BOULANGERあるいはガーンジーとも呼ぶそれは、宝物を守る幽霊で、回転しながら飛んできたら、服を裏返しにする消える。
イングランドのBUTTERY SPRITTESは、食糧室の妖精でバターを好んで盗み食いするためにつけられた。闇にまぎれて人目にはつかず、偽善者や詐欺師に報復。特に聖職者が標的だ。――※私見:SPRITTESとあるので狐火系の家つき妖精として扱う。
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その12 樹木系妖精
ケルト諸国のDRYADSは木に棲まうニンフで、夜になると自分の根っこを引き抜いて歩き回る。ダンスが好き。悪意はないが親しくしようとすると禍が降りかかる。彼らがドルイド僧に木の魔術や預言の力アストラル・トラベルなどの秘術を教えた。〝ドルイドの妖精〟とも呼ばれる。――※私見:『指輪物語』のトレントそのもの。オールドマン・ウィローとも関連すると考えられる。
OLD MAN WILLOWは、柳の木の妖精・柳爺で、通りがかった人間に手を伸ばして飛びつく。人気のない寂しい場所に出没。――※私見『指輪物語』にでてくる知的植物トレントのようなもの。樹木妖精はエルダー・マザーのようなエルフ系、ドワーフ系、ピグシー系が棲みついた場合が大半を占める。しかしこの件は、肉体的に木の枝を使っているから先述したドリュアスの系譜だろうと判断したい。
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その13 新種の妖精
現代の都市伝説系妖精GREMLINSは、空軍パイロットが第二次大戦中に発見。18~60㎝。色は緑、青、灰色。大きな耳と角をもつ。――※スピルバーグの映画『グレムリン』に登場する。主人公の白人少年は華僑老人(恐らくは仙人=エルフ)からギズモを譲り受けるのだが、水を与えると増えて邪妖精化し騒動となる。当時はまだ神秘の国だった中国。そこからもたらされたことになる、異界から降臨したての妖精といえる。
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引用・参考文献
ポール・ジョンソン 著 『リトル・ピープル』 藤田優里子 訳 創元社2010年
ノート20150715




