読書/デュ・モーリア 「モンテ・ヴェリタ」 ノート20160809
デュ・モーリア 「モンテ・ヴェリタ」 感想文 ノート20160809
デュ・モーリア「モンテ・ヴェリタ」は400字詰原稿用紙200枚弱相当の中編。務台夏子訳、創元社2000より。デュ・モーリアという土地は実際にあるらしい。修道院は異界でフィクションである。巻末の千街晶之解説によると神品という。――俗な私には意味不明の作品。
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親友である登山家二人が、二股にわかれた峰の狭間の修道院をみつける。この二人の間に麗しの美女が現れ一人と婚約するのだが修道院に行ってしまう。そこに至った彼女はあらゆるものを捨てて解脱したらしい。それでも婚約者男性は修道院の壁の前に恋文を置く。その返事は短く翌日登山して修道院にゆくと同じところに岩板に文字を刻んで返書していた。そんなやり取りをしていてしばらく経ったあるとき、ヴィクターが事故で臨終となり村の小屋に担ぎこまれる。その最中「わたし」は修道院に登ってアンナと再会しメッセージをヴィクターに伝える。夜中、行方不明になった少女を探しに村人が総出で山中を捜索にむかう。村自体も異界なのかもしれない。
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「わたし」……ヴィクターの親友。登山家。アンナに密かな恋心をもつ。
ヴィクター……「わたし」の親友。登山家。アンナの婚約者。
アンナ……モンテ・ヴェリタの修道院に入ったヒロイン。




