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読書/デュ・モーリア 「裂けた時間」 ノート20160810
デュ・モーリア 「裂けた時間」 感想文 ノート20160810
デュ・モーリア「裂けた時間」は400字詰め原稿用紙150枚弱からなる短編だ。
ミセス・エリスは雑貨屋を営む未亡人で寄宿舎住まいの9歳になる娘がいて、夏休みあけから、家から近くの学校に通わせようとしていた。ある日、散歩にでかけて家に戻ってみると、自宅の形状は変らないのだがアパートになっていて他人が入居していた。窃盗団と思い込んで警察を呼んだのだが、署に連れていかれて、記憶喪失者として扱われ、呼ばれた医師に鎮静剤の注射を打たれた。脱走して散歩したところに戻ってみると、物事がおかしく動き出した時点でみた風景と同じ所作、業者が倉庫のところで慌ただしく作業をやっている状況に戻っていた。
――尋問者とのやりとりのなかに爆撃があったという話があった。「裂けた時間」というタイトルからタイムトラベルかパラレルワールドに飛ばされたという御意見がネット上でみられた。誰も信じてはくれない絶望的な状況というのは、浮遊霊のようにも感じるのであるのだが……。




