読書/デュ・モーリア 「鳥」 ノート20160727
著者はダフネ・デュ・モーリアあるいはダフニ・デュ・モーリエ。英国の女流作家である。彼女の作品のうち「レベッカ」「鳥」はヒッチコック監督によって映画化されたことで知られている。動物パニックものは本作から始まる。400字詰め原稿用紙120枚相当。
このうち1963年に発表された「鳥」の舞台は第二次大戦後のイングランド(たぶん作者在住のコンウォール地方)だ。恩給によって週三日ほど牧場を手伝えば家族を養える退役傷痍軍人の主人公ナット・ホッキンが野鳥に襲われることから始まる。そのうち、煙突から家のなかにまで入ってきて家族を襲いだす。周囲に話すと最初は信じなかった同僚たちだが、彼らもだんだんに被害を受ける。
鳥はヒバリ、アトリ、ムクドリ、そのほか猛禽類たちで種族は無関係に人間に襲い掛かる。そして、ラジオで重大発表があります、という放送があったのだが、言葉の途中で中断されてしまった。政府は飛行機を飛ばしてマスタードガスをまこうとするのだが、鳥が捨て身で襲い掛かり落してしまう。主人公は外国がどうなっているのだろうと、ダイヤルを回すが、どこも同じなようだ。外に出ると、カモメが海辺に浮かんでいて、次なる襲撃を準備すべく羽を休めいていた。
.
ダフネ・デュ・モーリア著 「鳥」『デュ・モーリア傑作選』 務台夏子 訳より 東京創元社2000年




