読書/森鴎外 『舞姫』 ノート20160727
森鴎外 『舞姫』ノート20160727
森鴎外の『舞姫』は、1890(明治23)年、原稿用紙42枚相当の作品で、漢文の読み下し文風に書いたもの。「青空文庫」より閲読する。――出世をとるかカノジョとの幸せをとるか、いろいろ悩んだけれどけっきょく里心に負けてカノジョを捨てた話。――留学を終えて帰国した鴎外を追ってドイツ女性が船旅をしてきたのを、会わずに、親友を介して帰国させたという噂がある。もちろんその方は病んではいなかったようだが……。芸術は芸術家のわがままの巻き添えをくった人の貴重な犠牲のうえに成り立っていることもあると思い知らされる。
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01 プロイセン=ドイツ帝国時代。その首都ベルリンに留学していた官僚の主人公・太田豊太郎を乗せた船がベトナム・サイゴン(現ホーチミン市)に寄港したのを冒頭に、回想という形で進行する。
02 主人公は俊才であったが人見知りのところがあり、周囲に溶け込むのが苦手で孤独を愛し、勉学に励んでいた。ところが、留学している学校から宿舎に帰る途中、踊り子の美少女エリスに出会って人生の歯車が狂う。エリスは父親が亡くなって葬儀代に困っていたので工面してやるのだが、そのあたりの事情を留学仲間が上役に陰口して免職されてしまう。
03 主人公は新聞記者となった。留学中、国家は法律の専門家を必要としていたのだが、主人公は文芸作品・欧州各国文化を知ってある種の満足を得る。またエリスを内縁の妻として子供も孕ませる。
04 だがそこで、親友・相沢謙吉の好意で大臣の随員としてロシアにゆくよう取り計ってもらえた。その大臣に気に入られたため、元の職務に復帰できるようにしてもらった。相沢は帰国を勧める。主人公の帰国を察したエリスは精神に異常をきたしてしまった。
05 当座の生活費・治療費・子供の養育費をエリスの母親に渡し、主人公は帰国。帰国の途上、親友・相沢はいい奴でとても感謝しているのだが、心の片隅に憎しみが少しだけあると告白する。
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むむ、最低野郎!
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主人公……太田豊太郎 。ドイツ・ベルリンへの国費留学生。森鴎外の分身たるエリート官僚。
ヒロイン……エリス。16、17歳の美少女でイタリア座の花形ナーバー2の踊り子。
協力者……相沢謙吉の親友。伯爵天方大臣の秘書。




