読書/伊集院静 『にせアカシア』 ノート20160819
読書/伊集院静 『にせアカシア』 ノート20160819
伊集院静『にせアカシア』 横浜CD文庫
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実在か虚構かは判らないが、物語の世界観は江戸時代から存在する、花を盗んできて好事家・風流人が大金を受け取る稼業があったとされる。風流ゆえに、泥棒とはされぬ、そこが江戸の粋であった。昭和あたりが舞台で、ヒロインはひょんなことから花盗人最後の師匠から極意を譲られる。物語はミステリアスなヒロインがこの世界に足を踏み込んだ動機と、現在進行形である、花盗人作業プロセスを紹介して行く。サスペンス。――漫画『ルパン三世』の峰不二子をみるようで楽しい。
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01 店を飛び出し路地を抜けた時
雨宿りに立ち寄った喫茶店。銀座で男の人生を弄ぶ悪女ぶりをみせるヒロイン。高校時代の同級生3人が登場。そのうち2人を破滅させた。過去を知る後輩が倶楽部の専務をしていて、そのうちの1人と復縁させようとしたのだが、逃げるようにその場を後にする。
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02 志津子は西銀座の駐車場から車を出して
馴染の喫茶店に入る喫茶店。ヒロインは胡蝶蘭が嫌いだ。形も香りも、実は花盗人稼業だ。駐車場から車を出すと女子学生のバイクとぶつかる(伏線)。過去――初めての男はバンドマン・イケメン、高校時代の同級生。二人ともモテモテだった。
ブローカー・角からの仕事の依頼。
花盗人師匠との出会い。先に振った不倫相手といった居酒屋にて。師匠の人柄を知る。花商売関係からは疎んじられていたが同時に尊敬もされていた。触らぬ神に祟りなしのような存在。
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03 志津子はアパートのドアを開けると
ヒロインは故郷を捨てて恋人のいる東京に上京、洋裁学校を経て、ファッション関係の仕事に就いた。最愛の恋人は学校をやめてプロミュージシャンになったのだが才能の限界を感じて落ちてゆく。恋人はアパートで見知らぬ女とセックスしていた。逆上! いよいよ盗みにゆく。場所は新潟弥彦神社の桜だ!
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04 志津子は源平合戦の舞台な団の裏と
回想。本気カレの堕落した死にざま。病院でかつぎこまれた売女と共寝の場所で、薬中毒死。
仕事。亡き師匠のメモ、開花時期を役場や門前町の茶店でききだし。日中、御神籤を桜の枝に結わえるなどして入念な下見。
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05 星が周るのがフロントガラスをじっと眺めていると
桜泥棒に成功! 東京に帰る。ブローカー・角が急いでくれと催促。昼過ぎに指定場所にゆくと、冒頭で事故を起こした女子大生と出会う。そこの家の老当主が死去。この世の名残に桜をみたいと所望したのだ。
礼金を角から戴いて、馴染の銀座喫茶店にゆく。店員女性が通りにアカシアが咲いていると店長にいうとそれはニセアカシアだと笑っていった。




