映画(実写版)/ 『宇宙戦艦ヤマト』 ノート20160822
『スペース・バトルシップ・ヤマト』
山崎貴監督、木村拓哉が主演男優、黒木メイサがヒロインとなった。東宝作品。製作費20億円、興行収入40億円。2010年12月。
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プロット
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01 事件の発生
沖田率いる地球艦隊が、異星文明ガミラスにより、旗艦を除き全滅する。その際、主人公古代進の兄・守が戦死する。
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02 世界観説明
22世紀末、異星文明ガミラスの遊星爆弾により壊滅した地球。イスカンダルのスターシャからメッセージが届く。伏線として、放射能除去のシステムがメッセージ・カプセルを回収した古代守にかかる。
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03 登場人物説明
艦隊決戦に敗れた艦隊司令官沖田が、エリート脱出用のヤマトを戦艦とし、艦長となってイスカンダルに赴く。志願兵募集。予備役軍人だった主人公が入隊。もともとエースだったので高級将校として採用された。――物語はアニメ版『宇宙戦艦ヤマト』『さらば宇宙戦艦ヤマト』の二作をまとめたもので、登場人物は両方にまたがる。空間騎兵隊は『さらば』からだったと思ったが、ここで登場。主人公は、沖田艦長に反感をもち、艦長を尊敬しつつ主人公に幻滅していたヒロイン森雪との確執。
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04 仮説 冒険の始まり
イスカンダルの座標データをもらった。イスカンダル側は放射能除去装置をくれるといい、ヤマトのエンジン設計図もメッセージ・カプセルにあった。ガミラスが感づいて、ヤマトに遊星爆弾をぶつける。だが、沖田艦長の采配で見事に回避する。月から火星、火星から木星までのワープ航行中にガミラス艦隊の攻撃があるが、沖田の采配で回避。主人公、ヒロインを救出するのだがヤマトを危険にさらした。
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05 裏動機
主人公は勝手な行動をしたため、営巣入りする。主人公は部下を見殺しにしないスタンス。ヒロインはわだかまっていっているが主人公に好意をもちだす。そんななか、太陽系離脱につき、家族との最後の別れをしてよいと艦長の許可が降りる。また病気を押しての出航であったため、沖田は、艦長代理に主人公を指名した。その間、漂流するガミラス艦載機を回収して沖田が情報収集を計る。――艦載機ブラックタイガー隊の加藤に、デスラー総統の思念が憑依して、ガミラスの侵攻目的を語る。
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06 メンタル崩壊
太陽系離脱直後、また敵艦隊が出現した。敵ステルス機が下部艦橋にへばりつく。そこで作業をしていた、古手の部下が取り残されてしまう。主人公は苦渋の決断で、艦載機に乗った森雪に、下部艦橋接続分を爆破切断させた。
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07 動機
イスカンダル側が示す座標地点にむかってみると、なんとガミラス本星だった。捨て身のヤマトが中心部にむかった。実はイスカンダルの存在は沖田の創作というか仮説のようなもの、不確かな存在だった。古代進が冒頭で放射能致死量2倍といわれるなかでの作業で生還したので確信し、大博打にでたのだという。
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08 閃き
戦闘の最中で、波動砲口が塞がれてしまう。主人公、ヤマトをガミラス大気圏対空砲網を突破。空間騎兵隊とともに上陸。ガミラスとイスカンダルは同じ生命体で、滅亡を甘受しようとするイスカンダル勢力と、地球を自分たちの生存環境に改造しつつ、人類殲滅を計るガミラス勢力が存在していた。そのあたりの事情は、上陸作戦の最中、森雪の身体を借りて話す。
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09 全容解明
ガミラス総統のメッセージ。本星がほぼ壊滅した。最後の大型遊星爆弾で地球を爆破しようとする。古代進が、砲口が塞がったヤマトを特攻させた状態で接近させて、暴発させる策をとり一人艦に残って任務を遂行。生存者二十名弱を艦外退去させる。恋仲になった森雪も残るというのだが、森雪を熱線銃で失神させた。彼女を旧友・島に託して爆破に成功した。
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感想文
それまでヒットを連発していた主演の木村拓哉の人気にかげりがでてきたため、公開前から賛否が分かれていたのだが、結果として興行収益40億円で20億円の黒字となった。東宝の特撮映画では製作費がゴジラシリーズで15億前後であり会社としては上限を少し超えていたように思える。CG技術もまだそれほど進歩していなかったなかとしては上出来だろう。――ガミラス星上陸作戦の捨て身行動などちょっと無理な展開もあったのだが、ハリウッド版で、物語的には大差のない演出展開となっただろう。
東日本大震災直前で、仕事をしていたとき、現場作業での作業員用給水などでお世話になった小学校があり、ときどき所用で職員室に赴くと玄関に本作品のポスターが貼ってあった。2011年3月11日は作業撤収日だった。同小学校も数次の余震で壁やガラスが痛んだが、初回の大震災では日頃の訓練が行き届いており全員無事に校庭へ避難したとのことだ。




