映画/『戦場のピアニスト』 ノート20160822
映画 『戦場のピアニスト』 感想文 ノート2016/08/22
概略
図書館DVDコーナーで視聴した映画。ユダヤ人迫害により、(作品では50万といっていたが多すぎて信憑性に疑問があるのだが)ともかく、生き延びた20人の1人となった天才ピアニストの自伝がベースとなっている。かなりの話題作で、見せ場で使用されたショパンの曲目も注目された。2002年、ロマン・ポランスキー監督作品。
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プロット
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01
1939年、第二次世界大戦前夜、ポーランド首都ワルシャワ。
主人公ウワディスワフ・シュピマンはすでにピアニストとして名声を得ていた。9月にナチス・ドイツの電撃作戦があり、ラジオ収録中に爆撃をする。
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02
友人の妹ドロタとデートをするが、ナチスの布令で、飲食店はおろか、公園のベンチにすら座れない。英仏が対独宣戦布告し大戦突入になったことを知る。ドロタとは関係が疎遠となって自然消滅した。占領体制下のワルシャワのユダヤ人たちは、ダビデ星紋を腕章につけることが義務付けられさまざまな迫害を受けだす。ナチス親衛隊下部組織には秩序警察があり、ユダヤ人自身による下部組織がつくられようとしていた。知人ヘラーが、生き残るために誘いにきたのだが断る。
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03
1940年後半、ワルシャワでは、ユダヤ人たちが街路を煉瓦積みして、ゲットーという幽閉街区をつくって、外へでることを禁じられる。はじめはまだなんとか生活ができた。小ゲットーが富裕層、大ゲットーが中下層民生活空間だ。主人公の家族は大ゲットーに移住ささせられる。やがて小ゲットーは閉鎖。
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04
主人公は、ゲットー内部の富裕層を相手にしたパブでピアノ演奏。家族は工場で働かされていたのだが、収容所施設に集められる。――その過程で財産の大半が没収された。――やがて、大半のユダヤ人とともに、貨物車に乗せられ収容所のガス室に送られようとしていた。そこを、知人である、ユダヤ人ゲットー警察ヘラーが、主人公一人だけを助ける。
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05
主人公は、警察を買収したピアノ・パブのオーナーの助けもあり、建設現場作業員として重労働をすることでなんとか命を長らえる。――オーナーは作業中に頭数調整のため、監視員に射殺される。――その監視員つきでの街中での煉瓦積み作業中に、知り合いのポーランド人の音楽家仲間の女性ニナをみかける。実はレジスタンス活動家だ。監視員たちは、捕囚のガス抜きのために、余分な配給品を市井で交換していいという。やがてゲットー内の捕囚たちが、反乱を計画。主人公は買い物・食糧調達係となって、武器を仕入れてゆく。
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06
主人公は、ポーランド側のレジスタンスと通じた、リーダーの手引きで、ゲットーを脱出。音楽家ヤニナと夫のアンジェイ氏のところに逃げた。レジスタンスはいくつかの隠れ家を提供。転々とする。ほどなく、ワルシャワ・ゲットー蜂起が起き激しい攻防戦の末に捕囚たちは全滅した。ヤニナの夫妻のいるレジスタンスも、ほどなく占領軍に武器をみつけられて、逮捕されたらしい。
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07
隣人が潜んでいるのを知って騒いだため、主人公はレジスタンスの用意した非常事態避難先に逃げ込んだ。そこはかつての恋人ドロタの嫁ぎ先だった。夫妻を通じて、レジスタンスは、主人公を敵司令部真横のアパートに住まわせた。病気にもなるが、夫妻の世話もあって、なんとか回復する。その夫妻も田舎に疎開した。
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08
1944年8月、敗色が濃くなったドイツに対し、レジスタンスが一斉蜂起する。反乱は鎮圧された。食糧を届けてくれるレジスタンスはいない。ドイツは報復を兼ねた掃討作戦で火炎放射器をつかって町を焼いて回った。主人公は、占領軍の残党狩りの最中、廃墟に隠れ家をみつけた。缶詰を開けようとしていると、ドイツ将校にみつかった。将校は、主人公がピアニストだと知ると、廃墟のなかに残っていたグランドピアノでショパンのバラード第1番を演奏させる(見せ場)。――運のいいことに、人道家であるヴィルム・ホーゼンフェルト大尉で、食糧や衣類、缶詰の缶切りまでもらった。――もう少しでドイツが敗れるから生き残れと励まされる。
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09
ソビエト軍が巻き返して来て、ワルシャワのドイツ軍を駆逐した。大尉のコートを着ていたので危なくソビエト軍に誤射されそうになったところを、ポーランド語で弁明し助かる。
戦後、音楽仲間が、ソビエトのドイツ兵捕虜収容所前を通りかかると、捕虜のなかに大尉がおり、主人公に助けてくれるように伝えるが、主人公が助けに訪れた時は、捕虜収容所は撤収された後だった。――数百人のユダヤ人を命がけで救っていたという大尉は、戦後、ポーランド人やユダヤ人たちの助命嘆願にもかかわらず、ソビエト・スターリン政権で、スパイの嫌疑がかけられ、拷問・重労働による虐待死させられた。――ラストはオーケストラで主人公のピアノ演奏で幕となる。
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感想
主人公は2000年まで生き88歳の天寿を全うした。強運の持ち主だったが、この人以外はふつうに死んだ。最後に助けてくれた大尉も不幸な死にざまだった。大尉は平時においては教師で、画家の娘を妻とし、五人の子供の父親だった。戦後子供たちは全員医者になったとのことだ。――大尉が別れ際、主人公に言い残す、生き残るのは神の御意志、そのままで、視聴者は、生と死のタイミングは僅差ということを模擬体感することになる。そして、終戦まであと××年だ、シュピマンよ、生き残ってくれと、ハラハラしながら思ったことだろう。




