【宴会(二次会)幹事のあるあるでもないかな?物語の巻】
「あー高崎。昨日はご苦労さん」
「あっ影山部長。お疲れ様でした」
「あーそれで、昨日は結局、二次会の会費幾ら集まったんだっけ?」
「えっ」
「えっや、あらへんがな。なんぼ集まったんや?」
「は〜」
「は〜や、あらへんがな。二次会の会費、1人なんぼやったんや?」
「えーと、確か5000円でした」
「それで、二次会には何人来たんや?」
「えーと、何人だったかな・・」
「何人だったかなぁって、覚えとらんのか?」
「あっいや、確か・・40人だったと」
「それで、なんぼ?店に払ろたんや?」
「幾らだったかなぁ・・」
「幾らだったかなぁや、あらへんがな。領収書もうてないんか?経理にどう説明するつもりや?」
「経理に説明って・・」
「二次会も会社の立派な行事やでぇ」
「あっはい。確か・・10万だったと」
「あっそうか。と言うことは、10万残っとるわけやな?」
「まぁ・・」
「実は先日の設立記念のパーティーで、思てたより金掛かって参ったわ言うて、社長が言うてはってなぁ・・分かるな?」
「はい・・」
「取り敢えずその金、ワシが預かっとこ」と言って、影山は右手の手のひらを出して、高崎の表情を見ていた。
高崎は心の中で、「くそー。俺がどれだけ苦労して、この金を浮かしたかお前に分かるか!確かに酒のあてはスルメしか出てこなかったが、結構楽しい二次会だった。
それなのに何故?!この男は俺様の苦労も知らず、大事な金を俺様から、むしり取っていくのか!嫌だ!渡したくない!この男にだけは!この金で今晩、先輩たちと飲みに行く予定だったのに・・」
そして、高崎は力一杯、握りしめた右手を震わせながら、福沢諭吉を10枚、影山の憎たらしい、右手の手のひらの上に置いた。
影山は、右手の親指と中指を舌で軽く舐めてから、福沢諭吉を十枚数えて、そっと懐にしまった。
以上が、ある会社の二次会の翌日に交わされた、上司と部下の何気ない会話のやりとりでした。
皆さん。影山がこのお金をどうしたか分かりますか?彼の奥さんが作った借金の返済に充てていたのです。
影山も苦しんでいたのでしょう。だから彼は昨日の二次会で、スルメを食べながら、この二次会で幾らかの金が浮いてくるはずだと、そのことばかり考えながら、飲み放題のハイボールを1人カウンターで飲んでいた。
二次会の幹事の特権?
そんなものは影山の辞書には無かったのです。
「クッソーーーーーーー」とその日の夜、街中に響き渡る高崎の泣きそうな叫び声は、夜が明けるまで、止むことは無かった。
因みにそれから半年後、影山は会社を解雇されていた。
下請の取引先、数社に隠していた金を、キックバックさせ、彼の奥さんが作った借金の返済に充てていたのが、会社にバレたのが原因だった。さすらいの影山部長は、今何処で何をしているのやら・・・




