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じゅんけいさん。  作者: ジョウビタキ子


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8/15

たけのこハンター


「じゅう〜きゅう〜はちぃ〜……」



春になったらニョキっと生えてくる筍。

子どもの頃はエグ味が苦手で

せっかく作ってくれた煮物も食べませんでした。

大人になった今は

大好物です。



「な〜なぁ〜ろく〜……」



今日は筍を掘りに

竹林に突入しています。

帽子、手袋、長靴、カゴ、気合い、

必要なものは揃っています。



「ご〜よ〜ん……」



たけのこ掘り鍬は父が担いでいます。

まだ竹林には入っていない父。

10秒のハンデをもらっています。



「さ〜んにぃ〜……」



もう10秒経ちます。

娘はまだ筍を見つけていません。

このままでは幼少期の二の舞に…。



「い〜ちぜろ〜!行くぞ〜」



父が登り始めました。

今年こそ

今年こそ父より早く

筍を

見つけたい!



「あ、みぃ〜っけ」

「んもぅ!!どこにあった?!」

「ここ〜」



たけのこ掘り鍬で

ざかざかと土を掘り起こしています。

確かにある。

特徴的なツンツンとした筍の頭が

土から出ています。



なぜアレが見つけられないのか。

悔しいです!



「ゆっくり掘って!」



まだ竹林はあります。

奥には筍スポットもあるので

父が追いつく前にひとつは見つけたいです。



落ち葉が盛り上がっているところを

足で踏みつけてはらいます。

筍があれば足の裏に硬さが伝わり

なければただの地面が顔を出すのです。



「ないぃ〜…」



いつもの筍スポットで娘が頑張る中

父は斜面を登りながら2個目を見つけています。

見なくても分かります。

掘ってる音がしますもん。



「そこにあるぞ〜!」



斜面から父の声が降ってきます。

地面から視線を上げて

父が指差す方へ目を向けると…



「あった!」



なぜコレが見えない!

地面から10センチは出ている筍。

しかも一度チェックしたはずの場所。



「また負けた」



今年も先に見つけられませんでした。



「掘るか?」

「………掘る」



悔しさを筍へぶつけます。

筍の生えている向きを確認して

土を掘り起こします。

筍の周りを全部掘るわけではなくて

一箇所だけを

筍の根元までひたすら掘ります。



「あついっ」



重労働です。

でも掘ります。

根元まで到達したら

ここからは勝負です。



「足当てるなよ」



その通り。

足に当てるととても痛いです。

当てたことはないですが

絶対に痛いです。



たけのこ掘り鍬の幅広な面を

根元に何度か当てて

位置を確認します。



トン トン

ブンっと振り上げたら

思い切り根元へ鍬を打ち込みます。



『ドン!』



「はい、ハズレ〜」



手前すぎた。

鍬が当たったのは地面ですね。

筍のちょうど根元に当てないと

食べるところが小さくなります。



「ふんっ!」



『ドン!』



当たりました。

テコの原理を利用して

鍬が入り込んだ筍を掘り起こします。



「あー、ちょっと上だったね」

「ん〜まぁいいろ。鍬貸して」



娘がモタモタしている間に

また見つけたようです。

掘るのも早い。

そして正確です。



「……勝てない」



今年も惨敗記録を更新しました。



竹林もあまり手入れはできていないので

年々筍が生えなくなってきています。

日当たりが良くないのもあるのでしょう。



筍が生えてくれているうちは

父との勝負を楽しみたいです。



次こそは…!









帰り道。



「あ!あそこにもある!」

「ん〜あれはカス。疲れたし!もう掘らんぞ」


「なんだ…ハズレか…」



カスは、

生えているように見せかけて

触ると中身が空っぽの筍。

残念。


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