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じゅんけいさん。  作者: ジョウビタキ子


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緑のダイヤモンド


きゅうりの実は

雨上がりなどに

急に冷たい風に触れると

お肌が火傷します。



冷たい風が本当によろしくないそうです。



『果焼け』とも言うそうですが、

我が家では「焼けがある」

という言い方をします。



この言葉を聞くと、

気分がズッシリと沈みます。

自分たちできゅうりの選別をして

荷詰めをしているからです。



綺麗な実はA

傷のある実はB

綺麗だけれど大きな実はL

綺麗だけれど小さな実はS

そして曲がっていたり変な形の実はC



普段はAが多いですね。

サクサクと詰められます。



ところが焼けがある時は

選別から時間がかかります。

小さな焼けを見落とさないように

じっくり見るからです。



「今日はもう、綺麗な実はない!!」



はい。

今日は昨日の北風で

実が焼けました。

それはもう…見事に。

父はかなり凹んでいるようです。

この日は収穫自体も少なかったですし

なにより焼けができると

ショックが大きいらしい

と、母がこっそり教えてくれたことがありました。



「実が少ないから娘は荷詰めして〜。お母さんはこっち手伝って」

「はーい」

「もう今日は全部Bでいいぞ〜」



綺麗な実はないから

めんどくさい選別はせずに

最初から全部Bにしろと…?



「…はーい」



とりあえず返事をして

作業を開始した娘ですが

娘は意外とちゃんとしたいタイプなんです。



あるかもしれないじゃん。

綺麗なきゅうり。



黙々とカゴからきゅうりを掴み取り

詰めていきます。

ほぼBですが…

帰ってきた父に

娘はウキウキで報告をします。



「一箱だけAできたよ」

「できたか!」







翌日。

ニヤニヤしながら

父が近づいてきました。



なんだ?

なんか様子がいつもと違う…。



「昨日のAの一箱。いくらになったでしょ〜?」

「値段?え〜……?」



機嫌がいいから高かったんだろうな〜

と思いながら

適当にいつもの倍の値段を答えた娘。

その答えを聞いた父は

にーんまり笑って



「その倍の値段でした〜!」



と、満面の笑み。



「え!すごい!」

「他のハウスもAがなかったらしいから、値段が上がったね〜。たまにこういうことがある。緑のダイヤモンドや」

「……なんて?」

「緑のダイヤモンド〜。と〜きどき値段が跳ね上がるからね〜」



言いながら

ザリザリと靴底を擦って立ち去る父。



「一箱だけやけど、化けたな〜」



かなり嬉しかったようです。

昔、パチンコに通っていた

ギャンブラーな血が騒いだんでしょう。



でも正直

娘もテンションが上がりました。



「すごい…」



ま。

その日だけなんですけどね。



欲しい人はいるもんなんですね。

選別頑張って良かったです。


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