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じゅんけいさん。  作者: ジョウビタキ子


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メジロ


「みかんを〜ぜ〜んぶこのカゴに採って入れといて!」



作業の手を止めてまでやってきた父。

家の隅で大豊作となっているみかんを

娘と母に収穫させようとしているようです。



「自分で採ったらいいでしょー?」

「俺はまだ仕事がどっさりある!」



文句が止まらない母。

勢いで言い切る父。

いつもの光景です。



「このカゴでいいの〜?」



そこら辺にあったカゴを引っ張り出して

帽子と手袋を装着する娘。

枝が沢山ありますし、

虫が怖いですからね。

寒いから何もいないとは思いますが、

念の為に隠せるところは隠して

ズンズンとみかんの木へ突入します。



「いっぱいできてるね〜…カゴが一個じゃ足りないかな…」

「もう!お父さんがしたらいいのに!」



母は文句が止まりませんが、

なんだかんだちゃんとします。

やればできる母なのです。



「結構硬いね…手が痛い」

「もう!腰が痛い!」



もたもたと

勝手の分からぬまま

鋏で一つひとつ摘み取り

カゴの中へみかんを入れていく娘と母。

まだ半分以上残っているなと

腰を伸ばしながら休憩していると

のそっと父が様子を見にきました。



「まだやってるのかね」

「多いよ〜終わらない」

「うん〜?鋏はいらんぞ!手でこうやってしたら採れる!」



屈んで鋏を使っていた母を見兼ねて

大きな手でみかんをむしり取っていく父。

次々とカゴがみかんでいっぱいになり

ものの5分でみかんの木は葉っぱだけとなりました。



それを見た娘と母は思いました。



「父がやったら良かったと思う!」

「そうよー!お父さんが自分でしたらこんなに腰が痛くならなかったのにー!」



ワーワーと反撃されて

ヘラヘラ笑うしかない父。

でも娘は腹が立つよりも

興味がわいていました。



「父。どうやって採った?」



鋏なしでみかんを次々と採る父が

楽しそうに見えたのです。

モグラ叩きを終えた時の爽快感がありそうな

そんな予感がしました。



「ん〜?こうやって〜掴んで〜こう!クリ〜ってクリ〜って捻る感じ」



説明は大体こんな感じの父です。

娘は父の手元に集中しました。

鋏がなくても簡単に枝から外れています。



「娘もやってみたかった!」



葉だけになったみかんの木を指さして喚きます。



「文旦でしたらいい」

「ぶーんたん」



グリッと後ろを振り向くと

みかんよりデカい文旦が

鈴なりに実っています。



「籾殻持ってくる。採りよって〜」



文旦を収穫して寝かせるようです。

文旦は好物です。

採るしかありません。



「いざ!」



片手では掴めないので

両手でガシッと掴んで

クリっと捻ります。



「おぉ。意外と採れる」



父が持ってきた籾殻に

文旦を寝かせて

満足した父と娘。

そんな時、

みかんのカゴをせっせと運んでいた母が

雷を落とします。



「2人は何してるの!母だけに運ばせて!」



このモードはマズイですね。

父と娘はそそくさと残りのカゴを抱えます。

これ以上勝手をしていたら

良いことは何もないと

本能が告げています。



「で?この大量のみかんはどうするの?」

「うん〜?メジロにあげるのよ」

「メジロちゃん!」



腰を痛めながら採ったみかんは

メジロへの捧げ物でした。



「意外と美味いぞ。食べて食べて」



なんとマイペースな父でしょうか。

でも良いんです。

娘もメジロは好きなので。



翌日から柿の木には

半分にカットされたみかんが

グサグサ刺され続けました。

お目当てのメジロもやってきて

庭がとても賑やかです。



そしてもちろん



『ひぃーーーーーーーよ!』



ヒヨもちゃんと来ました。

目ざといヤツめ。



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